晴れてフリーランスデビューすると、必ずついてくるのが「経理」です。
具体的には、金銭の流れを帳簿におさめ、お金関連の記録を残します。
経営状況の把握をする目的の他に、申告書作成にも必要な情報となるため、避けては通れない業務の1つといえるでしょう。
そこで今回は、面倒に思われがちな経理業務を自分で行うメリットやそのコツをご紹介します。
経理業務を自分で行うメリット
フリーランスになると会社勤めとは異なり、メインの業務に加えて、運営に関わる業務も自分で担うことになります。
経理関連では、精算、請求書の発行、入金確認、従業員の給与計算など、多種多様なお金に関する業務が該当です。
経理代行を活用することもできますが、自分でやるからこそ得られるメリットもあります。
まずは、経理業務を自身で担うメリットを見てみましょう。
経営戦略が立てやすくなる
経理業務を自分で行うと、事業の売り上げや経費などお金の動きを把握することができます。
お金の流れに理解が深まると、より具体的で実現性の高い経営戦略づくりに役立ちます。
税理士にすべて代行してもらうのは簡単ではありますが、長い目で見て大きな成功が得やすいのは、自ら知識と経験を蓄えていくことです。
スモールステップでもよいので、自分で経理業務をやっていくことは、経営に対する強みになります。
コスト節約になる
経理の代行費用の相場は、月々、数千円から数万円です。
経理業務の一部だけを委託し、費用をおさえることもできますが、全てを委託する場合は費用がかさみます。
フリーランスは開業当初に出費が多くなる傾向にあり、安定的な収入を得るまで時間がかかります。
経理にかける費用を節約するには、自分でできることは自分でまかなうことです。
他の費用にあてたり、今後の出費に備えることができるのでコスト節約になりますよ。
フリーランスが行う経理業務
フリーランスが行う経理業務は、毎日行うこと、毎月行うこと、毎年行うことに分けられます。
業務が必要な時期を意識すると、漏れなく経理管理することができますよ。
毎日行う経理業務
毎日行う経理業務は、主に3つあります。
・入ってくるお金を記帳する
・出ていくお金を記帳する
・領収書、見積書、請求書、納品書などを整理し、保存する
毎日記帳することで、確定申告時の負担が軽くなります。
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があり、それぞれ記帳方法が異なります。
青色申告は白色申告に比べ帳簿付けが複雑なため、会計ソフトを導入すると作業が一段と楽になります。
また、お金の出入りを証明する領収書や請求書には保存義務があり、保存期間にも定めがあります。
経理関連の書類は紛失しないよう、ルールを決めて整理し、保存しておきましょう。
毎月行う経理業務
毎月行う経理業務には、大きく5つあります。
・通帳の記帳、または入出金チェック
・請求書の発行
・仕入れ先への支払い
・帳簿の抜け漏れの確認
・領収書や請求書などの整理と保存
月末には、1カ月分の取引が確認できると安心です。
請求し忘れているものがないか、記帳し忘れているものがないかなども併せて確認します。
入出金をオンラインで確認できる金融機関も多くあるので、自動で記録できると作業効率化できます。
スマートフォンなどからでも取引情報が確認できるので、おすすめですよ。
毎年行う経理業務
毎年行う経理業務は、決算月と確定申告の時期に行うことが多いです。
毎日かつ毎月記録を残し、書類を保存していると、1年に1回の経理業務が格段に楽になりますよ。
抜け漏れがあるかどうか必ず確認し、正しく申告できると安心ですね。
申告関係は、経験者からやり方を聞く方法もひとつです。
できることは自分でやりつつ、正しい経理業務を身につけていくと今後の運営に役立ちますよ。
知って納得、フリーランスに必要な経理関連ワード
経理業務を始めると、聞いたことのない単語が出会うことも増えます。
最後に、知っておきたい知識について説明していきます。
経費になるものとならないもの
経費を費用として計上すると、課税される所得金額を小さくして、納税額を減らすでことができます。
経費になるものとならないものの判断は、以下の表を参考ください。
また、経費を計上するには領収書やレシートの保管が必須です。
経費に関連する支出が生じた際には、領収書などを忘れずに発行します。
レシートの写真をスマートフォンで撮影すると、自動的にその内容をデータ化してくれるクラウド会計サービスもあるので、活用するのも1つですね。
「青色申告」と「白色申告」の違い
確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。
青色申告には事前に開業届と青色申告承認申請書の提出が必要で、白色申告は特に申請書の提出は必要ありません。
青色申告の最大のメリットは何といっても最大65万円の青色申告特別控除を受けられるところです。
手続きには複式簿記による基調が必要なため少々煩雑ですが、赤字を3年間繰り越すこともできます。
一方、白色申告は特別控除がなく、基礎控除のみです。
その代わり、簡易な方法で記帳した収支決算書を提出すればいいため、負担が少ないというメリットがあります。
どちらの方法が自分に合っているのかを見極めたうえで、申告方法を選択しましょう。
確定申告とは別の「決算書」
青色申告をする場合には、毎年行うタスクとして決算書の作成があります。
決算書は確定申告と混同されやすいですが、実は別物なので注意が必要です。
確定申告の主な目的は正確な所得税を算出することですが、決算書の目的は1年間の収入と支出を可視化することです。
確定申告で青色申告を行う場合に決算書の添付が必須となるので、確定申告書とあわせて作成するようにしましょう。
青色申告決算書には以下の内容が含まれます。
参考:令和年分所得税青色申告決算書(一般用)(国税庁)
日頃からクラウド会計ソフトを利用しておくと、毎日の帳簿付けの情報をもとにこれらの書類が作成できるため、いちから作るよりもぐんと手間が減ります。
まとめ
フリーランスの経理業務は、自分で行うと節約でき、将来の糧になるメリットがあります。
毎日・毎月・毎年行う業務を把握し、日ごろから記帳と書類の保存を怠らなければ、必要な申請を無理なく行うことができます。
重要な確定申告には2種類あるので、違いを理解したうえで必要な書類作成の情報を管理する必要があります。
時にはソフトを導入し、経験者に意見をもらって経験を積んで、フリーランスとして成長していきたいですね。