秋の訪れと主に、おいしいお米の季節がやってきます。
例年9~10月ごろに収穫されるお米は「新米」と呼ばれ、秋の楽しみのひとつでもあります。
では新米とは、いつまでのどんなお米のことでしょうか。
今回は、新米についてご紹介します。
鮮度はいつまで?新米がおいしくたべられる時期
乾物でありながら、鮮度がおいしさに直結するのが「お米」です。
新米のベストシーズンを知って、おいしいお米を購入しましょう。
新米と呼ばれる由縁
新米は、収穫から1年以内のお米を言います。
一般的には、秋(8月~10月)に収穫してその年を超えるまで(12月31日まで)を、新米と呼びます。
お米の収穫は基本的に年1回なので、2024年の1月1日以降に精米・包装されたお米も新米と同じ2023年に収穫されたお米です。
新米の表示が見られる商品は、あくまで表示上のルールに則って表記されているものということになります。
賢く買って、おいしい新米
おいしい新米を食べるためには、日本各地のお米の収穫時期やご家庭で購入する量などを、しっかり考えることが大切です。
各地の新米が店頭に出回る時期は、夏の終わりから秋にかけてになります。
店頭で販売される時期は、おおよそ以下の通りです。
7月ごろ:沖縄と九州の一部
8月ごろ:九州から近畿、東海、北陸
9月ごろ:関東から東北、北海道
お米の品種によっても収穫時期は異なり、期間としては8月から10月にわたります。
いつ頃収穫されたお米かどうかは、パッケージに表記の「産年」と「精米日」を見れば、判断できます。
お米は、精米日から1か月前後までのものがおいしいです。
精米されたお米は気温や湿度の影響を受けやすくなります。
そのため、なるべく精米から時間が経たない「鮮度の良い」うちに食べるとおいしさを堪能できます。
未開封でも、お米の袋には通気口が開けられているため、空気に触れてしまいます。
1か月で食べきれる量を目安に、購入しましょう。
購入は、新米の販売+10日程度がおすすめ
新米は、販売された直後よりも時間をおいて購入した方が、甘味のあるお米であること多いです。
理由は、稲穂の成長にあります。
稲穂が良く膨らむ条件は、昼間は暑く、夜間は涼しいという天候です。
寒暖差があるほど稲穂は膨らみ、甘味を感じるデンプンが豊富に含まれたお米へ成長します。
これは、稲ができ中の胚が完成してから養分をデンプンにして、胚乳として蓄えていくからです。
早期に店頭で見られる新米は、まだ暑いころに収穫されたお米であることが多いです。
同じ品種の新米でも、秋になり寒暖差を感じて成長した新米の方が、おいしく感じられます。
新米の発売を見てから10日程度待って、買うとよいでしょう。
これでバッチリ!新米の保管方法
お米は、空気に触れることで酸化や乾燥によって風味が落ちます。
おいしくお米を食べるには、新米をどのように保存すると良いのでしょうか。
保存場所は野菜室がベスト
お米の最適な保管場所は、冷蔵庫の野菜室です。
精米後、お米は時間が経てば表面の脂肪が酸化し、味が落ちるとされています。
しかし野菜室は、新米をフレッシュに保つ条件がそろっているため、おいしい状態のまま保管ができます。
湿度が小さいと、カビや虫の発生を抑制します。
新鮮な状態を維持することができ、香りを損ないません。
また、野菜室のような冷暗所では、お米の乾燥を防ぐことができます。
お米の乾燥は、ひび割れに繋がり、炊いたときにべちゃっとした食感を生み、おいしさを損なっていしまいます。
直接日光や冷気が当たらない野菜室で保管すれば、精米後のお米を乾燥から守り、ひび割れを防いでおいしさを保つことができます。
このように、野菜室はお米かを乾燥から防いでおいしく保つ環境が整っているので、保管場所として最適なのです。
さらに、密閉容器でお米を保存すると、よりおいしく保管ができますよ。
空気から守れ!新米は密閉容器で保存
冷蔵庫での保存でも、密閉容器の活用でさらに安心してお米の保存ができます。
ガラスなどの密閉容器であれば、湿気や匂いを避けて密封状態を保てます。
買ってきてすぐに食べる分は米びつなどで常温保存し、残りは密閉容器に入れて冷蔵庫への保存に分けると、精米後の酸化を防ぐことができます。
保存容器は、ビニール袋ではなく密閉できる容器に移し替えるのがベストです。
ビニールの袋は見えない小さな穴が開いているため、冷蔵庫に入れると酸化するだけでなく、匂いも移ってしまいます。
ガラスなどの密閉容器がない時は、清潔に洗ったペットボトルで代用できます。
新米の時期は、保存方法にも気を配ることでよりおいしく味わうことができますよ。
おいしく食べるなら、新米の「丁寧なケア」で炊飯!
収穫後間もない新米は、細胞の壁がまだ硬くなっていないため、軟化するのも早くふっくらと炊き上がります。
新米のおいしさを引き出すには、どのようなポイントに注目するとよいのでしょうか。
新米の炊き方のポイント
新米をおいしく炊くには、新米の特徴を理解して、ポイントを押さえて炊くことが大切です。
新米は酵素の働きも活発なことから、炊飯時にでんぷんやたんぱく質の分解がしっかり行われ、旨みや甘みも強く感じられるのが特徴です。
炊飯器で新米を炊く際のポイントは4つあります。
- 水が澄むまで洗う必要はない。
- ザルに上げて長時間置かない。
- 新米の水加減を一律に減らす必要はない。
- 低温でじっくり浸漬(しんせき)させてから炊飯する。
米をとぎ洗いする際に出る白い水(とぎ汁)の白濁は、主に米の表面に付着しているデンプンが水に溶け出した結果です。
とぎ汁には、デンプン以外にも米に含まれるミネラル・ビタミン・窒素成分などが少量含まれています。
このため、水が澄むまでお米を洗う必要はありません。
お米は、吸水できる水分量が決められているため、新米でも水分量は一律です。
ただし、気温や銘柄により水分量を変えることはあります。
浸漬の工程は、お米の芯までたっぷりと水を浸透させることができます。
たっぷり水を含んだお米はふっくらと炊き上がり、おいしさに貢献します。
では、4つのポイントを踏まえたうえで、具体的な炊き方を見ていきましょう。
ポイント押さえて、新米の炊き方をマスター
お米を炊くときは、「計量」「洗浄」「炊飯」の3つを丁寧に行います。
次の手順を参考に炊くと、おいしい新米が食べられます。
お米が炊き上がったら、すぐに蓋を開けて蒸気や余分な水分を飛ばします。
炊飯器の場合、蒸らしまで自動で行ってくれるため、蓋を閉めたままにしておくと蓋の裏の水滴がお米に落ちてべたつきの原因になります。
15分程度、蓋を開けたまま蒸らしを行ってから保温するとおいしいご飯が食べられますよ。
しゃもじで十字に切り、4等分したあと、一塊ずつひっくり返してよそうと、ふんわりしたご飯ができますよ。
最後に、新米にぴったりのごはんのお供のレシピを紹介します。
ペロッと満足!新米の「のっけ飯」レシピ
お米、特に新米はそのまま食べてもおいしいですね。
でも、さらに新米をおいしく食べるには、ごはんのお供になるおかずが必要です。
シンプルな味わいのお米に、はっきりした味付けの具材をのせると、より新米のおいしさを感じることができます。
ここでは、新米におすすめの「のっけ飯」レシピをご紹介します。
お米におかずが合う理由
お米は水だけで調理するため淡白な味わいであり、和洋中どんなおかずとも相性が良いです。
白いご飯はほとんど味がしませんが、よくかんでいるとほのかに甘い味がしてきます。
ご飯の甘みの秘密
米の約75%を占めている炭水化物(主としてデンプン)によるもので、かむほどに口の中で甘みが増すのは、だ液に入っている消化酵素がデンプンをブドウ糖に変えるから。
また、お米には適度な歯ごたえとねばりがあり、食べ続けても飽きのこない食べ物です。
お米のほのかな甘みと食感が縁の下の力持ちとして働き、どんなおかずと食べてもおいしくなるというわけです。
お米は炭水化物が主体のため、タンパク質やビタミン類を補えるおかずが理想です。
下記のレシピを参考に、新米に合うおかずを試してみましょう。
しらすとねぎのっけ飯
しらすとねぎののっけ飯は、加熱の必要なく、混ぜるだけでさっと用意ができるおいしいお手軽おかずです。
しらすには、カルシウムやビタミンD、ビタミンB12が豊富に含まれます。
骨や歯を形成するカルシウムと、その吸収を助けるビタミンDが一緒に摂れるので、優秀な食材のひとつです。
また、ビタミンB12は、健康な神経や血液を維持するのに役立つため、年齢問わず食事に取り入れたいですね。
しらす自体はシンプルな味のため、ねぎとごま油の香りが加わることでアクセントになります。
また、ねぎの緑と卵黄の黄色で見た目のおいしさもアップしますよ。
中華風肉みそのっけ飯
テンメンジャンで味にアクセントをつけた、中華風のおかずです。
しょうがは、ビタミンB1やビタミンC、ビタミンEを含みます。
ビタミンB1は、糖質の代謝に働きかけるため、新米との相性が良いです。
ビタミンCにはストレス緩和・肉体疲労の回復の役割があり、ビタミンEには抗酸化作用があるため、体に活力を与えてくれます。
ひき肉は、中火でしっかり炒めると味がしみ込みやすくなります。
しょうがとテンメンジャンが中華の風味を演出し、甘辛い味付けが新米にぴったりですよ。
作り置きおかずにも便利です。
まとめ
新米は、収穫から1年以内のお米を言います。
主に年内に収穫されたお米が「新米」と表記されますが、出始めよりも10日程度見送ってから購入するとよりおいしさを味わうことができます。
お米は鮮度が命なので、1か月程度で消費できる量を購入し、空気に触れないように保管すると安心です。
炊き方は、水分の吸収を意識して適量含ませるとふっくらやわらかいご飯になります。
新米の特徴やご飯の炊き方をマスターして、秋の味覚を楽しみたいですね。