専門職として注目されている栄養士・管理栄養士は、調理スタッフや医療関係者など様々な職種と連携するお仕事です。
しかし、職場での人間関係に悩み、お仕事を辞めてしまう方も多くいます。
毎日働くお仕事に悩みを抱えながら携わるのは、とても辛いものですよね。
仕事の効率や内容にも影響し、良いお仕事ができないという負の連鎖につながりかねません。
今回は、栄養士が抱える人間関係の悩みの理由やその解消方法を一緒に考えてみましょう。
栄養士が人間関係に悩む理由3つ
栄養士が職場の人間関係で悩む理由は、大きく3つに分けられます。
人間関係に悩む根本的な原因を探ることは、解決の糸口につながります。
まずは自分の悩みの理由はどこなのか、考えてみましょう。
1つの職場に対して栄養士の必要数が少ない
栄養士は「対象者500人に対して1人いれば良い」など配置の基準があるため、職場には自分しか栄養士がいないことが多くあります。
つまり、相談相手や思いを共有できる人がいないことから、悩みを抱えがちになるのです。
閉鎖的な空間・人間関係
栄養士はチームを組んで連携をとるお仕事ですが、関わる職種は多くても狭い人間関係の中でお仕事をしていることが多いようです。
そんな中で1度関係がこじれると、改善は難しいものです。
どの職種の方も、その道のプロとして意思とプライドを強く持ち働いています。
自分自身もしっかりとした信念を持っていないと、相手の言うがままになってしまう・意見を聞いてもらえないという状態に陥りかねません。
「栄養士としての自分の存在価値」が職場で認められないと、円滑なお仕事ができないばかりか、精神的にもつらいものですよね。
特に新卒や若い栄養士とベテランの調理スタッフとの関係や、直営と委託の栄養士の間の関係で悩むことが多いようです。
仕事がハードなわりに、待遇や給料が悪い職場が多い
どんな大変な仕事でも、待遇やお給料が良ければがんばることができる・・・というのは人間の心理ですよね?
でも、栄養士や調理現場で働くお仕事は、肉体的・精神的にとってもハードな割にお給料や待遇がとっても悪い・・・という職場も多くあります。
そういう職場では、「最低限のことしかしな」・「もっと良くしようという気持ちにならない」というスタッフが多くなりがちです。
そんな中で働いていたら、気持ちはすさみ、人間関係も悪くなり・・というのは目に浮かびます。
また、調理を行う現場でのお仕事は特に、たくさんの作業や衛生面などの決まり事があり、出来上がる時間は絶対に延ばせない!という緊張感の中で行っています。
常に緊張感とピリピリした雰囲気になりがちな職場では、ストレスもたまりやすいという特徴もあります。
★待遇が安定している公務員栄養士の働き方については、こちらもどうぞ
転職する前に!人間関係の悩み解消に考えたいこと
お仕事の悩みは、どの職場にもあるものです。
転職を考える前に、まずは今の職場の中で「自分が改善できること」をやってみるのは、とても大切なことです。
自分で改善できることはあるのか、もう1度考えてみましょう。
相手の立場をしっかり理解する
栄養士は、衛生管理や対象者の為にこんな仕事を依頼する場面が多くなります。
・いつもの仕事の流れや方法を変えなけらばならない
・作業の手間が増える
これに加えてさらに、指示をする立場になります。
つい指示が一方的になりがちですが、それでは反感を買ってしまいます。
「なぜその作業をしないといけないのか」をしっかりお伝えした上で、「どうしたらお互いの立場で目的が達成されるのか」など、相手の立場からも意見を聞いてみましょう。
対話をして納得した上で決めたことは、上手くいかなかったときもお互いの問題として考えてもらいやすくなり、次の改善にもつながりやすくなります。
指示をするまえに、全体の仕事や流れをきちんと把握する
栄養士は計算ばかりしていて、口だけ・・・なんてことを言われることがあります。
そう言われないために必要なのは、「多職種の仕事の内容」・「仕事の流れの全体像」をしっかり把握した上で、指示やお願いをするということです。
どんな仕事にも流れがあり、栄養士の衛生管理や栄養管理に理由があるように、調理にも作業のこだわりや理由があります。
- 指示をお願いする時間はいつがいいのか
- この指示は調理員さんにとってどんな負担になり作業効率に影響するのか
- 調理の出来上がりに影響するのか
・・・など、様々なことを考える必要があります。
そのために調理に積極的に参加して、調理スタッフの動きや流れを一緒に体験する・コミュニケーションを図る、などの日々の交流がとても大切なポイントになります。
調理スタッフも、自分の仕事をわかってくれるのはとても嬉しいものです。
そのような関わりをしっかりしていくことで、指示や対話がしやすくなり、協力体制も得られやすくなります。
「相手の仕事を理解したうえで、よりよい方法を一緒に考える」というのは、円滑に仕事をするうえで、どの仕事でもとても大切なことです。
自分をわかってもらう努力をし、「仲間」になる
経験や年齢が上の多職種の方の中に入ってお仕事をしなければいけない、という職場は多くあります。
いろいろな価値観がある中で、「何を考えているかわからない」人として周りを敵に回すと、とてもやりづらくなってしまいます。
ここでも1番大切なことは、「コミュニケーション」です。
仕事中や休憩時間など積極的にコミュニケーションをとって、職種を超えた仕事の「仲間」になることが、改善のポイントです。
「良い人間関係は一日にしてならず」です!
常に相手に感謝の言葉や良かった結果を伝える
「ありがとう」の言葉を、職場のみなさんに伝えていますか?
実は、感謝を伝える声掛けというのは、人間関係を良くするために1番大切なことといっても過言ではありません。
栄養士が何かを頼むとき、たいてい相手にとっては「手間が増える」「大変になる」ことが多くなります。
栄養士にとっては、
「衛生面でやらなければいけないこと」
「患者さんのためにひと手間かけて手を加えないといけないこと」
も、相手にとっては
「自分の労働の対価に見合わないこと」として不服を覚えることが多くあります。
仕事なのでやるけど「面倒」なことが続くと、ストレスがたまったり、栄養士への反感を持つことにつながります。
そんなときは、やってもらった手間に対してしっかりと「ありがとう」を伝えてみましょう。
例えば、
「○○さんに手間かけてやってもらったことで、患者さんがすごく喜んでくれて、ありがとうっていってたよ!」
「○○さんのおかげだよ!」
などの言葉を、日々伝えてみてください。
「大変だったけどやってよかったな」という気持ちを職場で共有することは、ストレスや仕事の手間に対する不満を緩和してくれます。
「人間関係に悩まない」ための職場の選び方
いろいろ頑張ってみたけど悩みが解決しない時は、職場を変えてみるのも1つの手です。
同じ悩みを抱えないために、本当に自分にあっている職場はどこなのか、こんなポイントを確認して選んでみましょう。
いつも募集がでているところは選ばない
栄養士の募集は、よく見かけます。
でも、いつも目にする募集はありませんか?
人の入れ替わりが多い職場は、「人が定着しない理由」がある可能性があります。
日頃から募集情報を確認しておくと、注意な職場をチェックすることができます。
できるだけ待遇がいいところを選ぶ
給料が安い・勤務体系が不安定など、待遇があまり良くないところは働く人の気持ちもすさみがちです。
余裕のなさや不満など、様々なストレスが原因で人間関係が悪化することもあります。
自分の働く条件にあっている職場をしっかり選ぶことは、メンタル面でもとても大事なことです。
働く環境を見学する
事務所や調理現場など、働く現場の見学ができるならさせてもらいましょう。
働く場所の清潔さや広さ、器具、整理整頓具合などは、働く人のストレスや人間関係が反映されがちです。
また、見学した際の働いている人の挨拶や表情、動きなども確認をしましょう。
「雰囲気が悪いな」・「ここは楽しそうな職場だな」など、自分の直感は大事です。
まとめ
お仕事をする以上、どんな職場にも様々な考え方や個性を持った方がいます。
人間関係に悩むたびに職場を変えるのでは、気持ちも労力もスキルも無駄になってしまいます。
まずは悩んでいる根本的な原因をしっかり自分で見極めて、自分でいろいろ改善を試みてみましょう。
それでも厳しいときは、募集状況や待遇などをしっかり調べて自分にあった環境選びをしていきましょう!
いざとなれば栄養士の資格を活かして、人間関係に縛られない働き方も視野に入れると気持ちが楽になりますよ♪