今すぐ実践!備蓄非常食には「ローリングストック」がおすすめなワケ

頻発する日本各地で起こっている「大きな地震」などの自然災害は、いつ自分の身に降りかかるかわかりません。

地震や災害が起こるたびに関心が高くなる「非常食」ですが、みなさんはどのような備えをしていますか?

ライフラインの復旧や支援物資の到着が遅くなることも考えると、家族のために十分な量の非常食を準備しておくことが大切です。

そこでおすすめなのが、日常食品を非常時に活用する「ローリングストック」という方法です。

今回は、長い避難生活に必要な量と健康を維持するために「ローリングストック」を利用した非常用備蓄の方法について考えてみましょう。

 

非常食には「ローリングストック」がおすすめ

 

災害時用の食品の備蓄には、「ローリングストック」の考え方を活用した食品の備蓄がおすすめです。

災害の備えといえば、カンパンやアルファ化米などの「非常食」を購入することを考えがちです。

しかし災害によって起こる避難生活は長くなることがあり、その分の食品を非常食として大量に購入・保管するには専用の倉庫が必要になるほど場所が必要になります。

そこで知っておきたいのが、「ローリングストック」を活用した備蓄管理です。

 

ローリングストックとは?

普段使う食品を少し多めに買い足して置き、消費期限を考えながら使って、買い足してをしていくこと。

消費期限が切れることなく、無駄にすることなく、常に一定の食品が在庫としてある状態が維持できる。

 

ここでは、ローリングストックを活用した備蓄食品について、必要な量や内容、活用方法について考えてみましょう。

 

まずは量の把握!1週間分の水と食料が必要

災害時の備えとして「3日分」が必要というのが一般的ですが、できるだけ1週間分程度の水と食料を備えておくことがおすすめです

災害の規模によってはライフラインなどの復旧にとても時間がかかったり、支援物資はあっても物流がうまくいかず、長く届かない可能性もあるからです。

そのため

「1週間程度の水と食料×家族の人数」分の備蓄

を各家庭で備えておくことが大切です。

 

◎備蓄の目安(1人分)◎

・水

3リットル/日 ・・・飲料水・調理用水用

・主食

米   75g/食 ・・・α化米やパックご飯、米など

パン  6枚切り1~2枚分/食 ・・・パン缶など

乾麺 100g/食・・そうめん・スパゲティ・インスタントラーメンなど

・主菜

肉・魚 缶詰

そのままかけられるレトルト食品(カレー・パスタソースなど)

・副菜

野菜・・日持ちする常温保管野菜(人参・玉ねぎ・じゃがいも)

野菜ジュース

果物・・缶詰、果物ジュース

 

1日3食×1週間分(7日分)×家族の人数と考えると、大量になる事がわかります。

この量を「非常用」としてどこかに保管しておくとなると、広い保管場所と莫大な金額がかかるため現実的ではありません。

そのため、しっかり備えると大量になる非常用の食品を、どうやって無理なく保管していくのか考えておく必要があります。

災害時に「足りない」と慌てず安心して避難生活を送るために、必要な家族の1週間分の食品の量と内容をしっかり把握して備蓄計画をしましょう。

 

「非常食」+「日常食品」でムダなし!安心の備蓄

災害時に必要な備蓄食品は「非常食」と「日常食品」を組み合わせて「ローリングストック」すると、金銭面や場所の無駄がない「安心の備え」になります。

非常食に日常食品を組み合わせることで、非常食のデメリットになる面を補うことができるのです。

 

 

非常食は保管場所をとるばかりか割高で普段使いに向かない食品が多いため、安定して備蓄しにくい性質があります。

そのため、「非常食」に普段使いしている「日常食品」を合わせて備蓄することで、次のようなメリットがあります。

 

<日常食品を備蓄するメリット>

金銭面・・・非常時のための食品の出費ではないため、普段の家計の範囲でそろえて置ける

保管場所・・日常の食品を保管する場所においていくため、余計な場所をとらない

栄養・・・・日常食品はバラエティー豊かな品ぞろえのため、非常食では偏りがちな栄養を補いやすい

 

災害用の備蓄食品を考えたとき、「非常食」といわれるアルファ化米などをそろえることを考えがちですが、それだけでは長くなるかもしれない避難生活を乗り切るのは困難です。

また、非常食は割高なため、いつ来るかわからない非常時のために大金をかけることも難しいものです。

そのため、「日常食品」と呼ばれる普段使いできる食品を日常の料理に使用して買い足しながら、「備蓄」としても活用していく「ローリングストック」は現実的でなじみやすい備蓄になります。

このように、災害時用に食料を備蓄するときには、「非常食」と「日常食品」を組み合わせて「ローリングストック」することで、お互いのメリットデメリットを補いあう良い備蓄になるのです。

 

災害時の避難生活は「長くなる」ことを想定する

災害時の避難生活は、「長くなる」ことを想定する必要があります。

災害発生直後と落ち着いた後ではできる生活が違うことや、健康状態が変わってくるため、長い避難生活の状況を想定した備えが大切になるのです。

 

 

災害発生時(24時間以内)は、継続的に地震が発生するなど災害が継続していたり、避難場所も混乱しており火も水も使えない状況です。

そのため、災害発生初期は簡単にお腹を満たすことができる「そのまま食べられるもの」として簡単にエネルギー補給ができる主食メインの「非常食」が役立ちます。

災害発生初日は特に、簡単な調理も難しくなることが想定されます。

そのため非常用持ち出し袋などに、災害発生初日1日分の水(1リットル程度)とそのまま食べられる食料(3食分)を備えていつでも持ち出せるようにしましょう。

しかし、避難生活が3日以上になり長くなってくると、「ただお腹を満たす」だけでは栄養が偏るため体調を崩しがちになります。

避難生活が長引くなかで生活が少しでも落ち着いたら、心と体の健康を少しでも維持するために、たんぱく質やビタミン・ミネラルが補給できる食品が必要になります。

ここで活躍するのが「日常食品」です。

缶詰やレトルト食品、パックの野菜ジュースなど、開ければそのまま食べられる日常食品は、長引く避難生活に大活躍します。

また火が使えるようになれば、炊き出しや支援物資が届くようになってもたくさんの人で分け合うため、十分な量は期待できません。

足りない分は、自分たちでしっかり準備しておくことで、例え避難生活が長引いたとしても、健康を維持して生活していくことができるのです。

このように、災害時はその場しのぎの備えだけでなく、避難生活が長引くことを想定してしっかり非常用の食品をそろえることが必要なのです。

 

何を選ぶ?どう使う?備蓄食品のそろえ方

 

大量に必要な備蓄食品は、むやみやたらにそろえても実際には必要なかったり、欲しいものが無かったら意味がありません。

必要な物を必要な分だけそろえるには、災害発生時から避難生活がはじまって落ち着くまで、どんな生活になるのかをしっかり考えてそろえることが大切です。

ここでは災害時の時間の流れと場面を想定して、何をどのように食べていくのかを考えてみましょう。

 

まずはエネルギー補給が優先!「主食」になる食べ物

災害時だけでなく日常でも、まずはしっかりエネルギー補給をするために「主食」になる食べ物が必要です。

しっかりエネルギー補給をしないと、大変な災害を乗り切ることはできないからです。

エネルギーが必要な理由には、次のようなことがあげられます。

 

生きていくためには最低限「エネルギー」が必要になる

災害時は通常とは違う環境の中の生活になるため、体力の消耗が激くなることが想定される

・おなかが満たされないと、気持ちも落ち込みがちになる

 

エネルギーを補給するために必要な、「災害発生時期別の主食の食品例」は次の通りです。

 

 

地震の揺れがおさまらず、安全に火などが使えない災害発生初期は、そのまま食べられる主食や主食の代わりになる「非常食」がおすすめです。

ただし、非常食は味気なく長い期間食べるには向いていません。

火をつかって湯を沸かしたり、簡単な調理ができる程度状況が安定したら、温かい食事がたべられるよう米や乾麺などの日常食品を利用します。

少しでも早く温かく日常に近い食事をすることで、災害や避難生活に疲れた心と体を癒すことにつながります。

また、エネルギー源になるのは主食だけではありません。

どこでもちょっとしたエネルギー補給ができる、チョコレートや飴などの菓子もエネルギー補給になります。

エネルギー補給ができるパックのゼリー飲料などは、日持ちも保管もしやすく、水分とエネルギーが一緒にとれるため夏場の避難時にはおすすめです。

災害時にまずはしっかりエネルギー補給をしていざというときに体を動かすことができるよう、主食などを場面を想定して備えるようにしましょう。

 

渡邊
渡邊

味気ないご飯を美味しくたべるために、ふりかけなどの常備もおすすめ!温かい状態で主食を食べられないときも、おいしく食べられるよう備蓄も工夫するといいですね!

 

長期避難対策「たんぱく質」と「ビタミン・ミネラル・食物繊維」

長期の避難生活を想定すると、「たんぱく質」や「ビタミン・ミネラル」を補給できる備蓄をしておくことが大切です。

災害直後は主食になる炭水化物に偏りがちになるため、避難生活が長くなると栄養が偏り体力の衰えやさまざまな病気になる可能性があるほか、精神的な安定にも影響するからです。

そうはいっても、調理などが難しい避難時には使える食品が限られているため、日常でも利用でき長期保管ができる次のような日常食品がおすすめです。

 

<たんぱく質源>体をつくる組織・筋肉の維持、貧血予防

・缶詰・・・ツナ、さば、いわし、サンマ、コンビーフ、焼き鳥など

・レトルト食品・・・ご飯や麺にかけて食べられる丼やパスタソースなど

・フリーズドライ・・お湯を注げば使えるもの。丼・汁など

・充填豆腐・・・常温長期保存できるパックタイプの豆腐

・乾物・・・煮干し・かつお節など

 

<ビタミン・ミネラル・食物繊維源>口内炎や便秘の予防や免疫力UP

・常温で長期保管しやすい生野菜・果物・・にんじん、じゃがいも、たまねぎ、りんご

・ジュース・・常温保管できる野菜や果物ジュース

・乾物・・・のり、ひじき、わかめ、切り干し大根、乾燥みそ汁の具(ネギ)など。

・フリーズドライ・・汁など。

・缶詰・・・果物のシロップ漬け、コーン缶など

 

そのままでは食べにくい「乾物」は、フリーズドライの汁物などにプラスすると、手軽に栄養がUPして便利です。

 

 

ご紹介した備蓄食品は、どれも日常生活で使用しているものです。

使ったら買い足し、常に保管しておくことで災害時にも非常食として活用できる「ローリングストック」に最適な食品です。

長期の避難を想定してしっかり備えるために、日常食品のローリングストックを活用し、「たんぱく質」や「ビタミン・ミネラル・食物繊維」の食品を備蓄しておきましょう。

 

ストック必須!避難時の食事に便利な日常備品・消耗品

災害時・避難時に備えておくと便利な、食事や調理に関わる備品・消耗品はストック必須です

使える水や熱源も限られ、衛生環境も良くない状況になりがちなため、単体で使える熱源や使い捨てができる消耗品などを上手に利用することが大切になるのです。

 

<非常時に備えておきたい日常備品・消耗品>

カセットコンロ・ボンベ

鍋・フライパン

キッチンバサミ(包丁・まな板いらず)

使い捨てのコップ・皿・箸・スプーン

サランラップ

食品用ポリ袋(高密度がおススメ)

アルミホイル

クッキングシート

キッチンペーパー

除菌スプレー

 

災害時の調理でポイントになるのは、いかに「衛生的に洗い物をせずに調理するか」です。

サランラップを皿にかぶせて食品を乗せれば、ラップを捨てるだけで皿を洗わなくて済みます。

フライパンの調理にホイルやクッキングシートを敷けば、フライパンを汚さず調理ができます。

また、高密度の食品用ポリ袋は「ポリ袋調理」ができます。

 

<ポリ袋調理の例>

・1食分の米と水分を入れて米を炊く

・缶詰に他の具材を入れて一緒に加熱する

→調理は一人ずつできて、とりわけが必要ないので効率的かつ衛生的!

 

鍋に湯をはり、その中に食材を入れたポリ袋を入れて温めれば、鍋を汚さずに調理をすることができるため、衛生的でとても便利です。

避難時に便利な備品や消耗品は、普段も利用しているものばかりです。

日常生活で利用している備品や消耗品もしっかりローリングストックし、避難時にも上手に活用しましょう。

 

まとめ

災害はいつ発生するかわからないため、早めに必要な備えをしておくことが大切です。

しかし、忙しい日常生活の中で災害時用に食料をそろえたり、備蓄場所を確保するのは難しいものです。

日々使う日常食品を使った「ローリングストック」の備蓄は、普段の生活にも密着して取り入れやすい備蓄方法です。

また、賞味期限が長い災害時用の「非常食」と合わせて備えておくことで、お互いのメリットデメリットを補いあうことができます。

また、ローリングストックの食品を活用して日常生活と同じものを食べることで、災害時の心の安定にもつながります。

恐ろしい災害や避難生活は不安になりますが、あらかじめしっかり備えておくことで、発災時にも心に少しゆとりをもって過ごすことができるのです。

この機会に、ご家族に必要な非常時の食品や在庫食品などについて考え、非常時を想定した「ローリングストック」の考え方をとりいれてみましょう。

 

 

この記事を書いたひと

FBS2期卒業生 三浦 寛子

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