「離乳食を始めたら、毎日出ていた子どものうんちが出なくなった。」というのはよく聞く話です。うんちが出なかったり固かったりで、赤ちゃんが苦しそうだと心配になってしまいますね。
ここでは、赤ちゃんの便秘解消に効果的な方法についてお伝えします。大人にも使える内容なので、ぜひ家族みんなで試してみてくださいね。
赤ちゃんのうんちが出ないと感じたら…
お腹のなかはきれいなイメージもある赤ちゃん。
どうして赤ちゃんは便秘になるのでしょうか。
また便秘の間の離乳食はどうすればいいのでしょうか。
赤ちゃんの腸はまだまだ未発達
多くの赤ちゃんが離乳食を始める5、6か月ごろは、腸の機能もまだまだ未発達です。
母乳や、ミルクの量が減るため、一時的に便の水分が少なくなり、便が出にくくなることがあります。
逆に、腸が良く動くせいか便が緩くなることもあります。
排便のリズムは子どもによって違うので、2、3日便が出ない程度で機嫌もよい状態であれば様子を見ましょう。
便秘の間、離乳食はやめた方がいい?
離乳食は、固形の食べ物から栄養を摂って消化することや、飲むことからかんで食べることの
練習にあたります。
そのため、便秘のために離乳食をやめる必要はありません。
赤ちゃんの様子を見ながら、便秘解消の効果がある食材を取り入れて続けていきましょう。
食事に取り入れたい3つのポイント
便秘解消をするための食事には3つのポイントがあります。
離乳食の場合、食材や柔らかさに注意しながら取り入れてくださいね。
水分
離乳食が始まると、母乳やミルク以外から水分を補給しなければいけません。
湯冷ましやお茶を飲ませたり、食事にスープやみそ汁などの汁物を取り入れることが必要です。
食物繊維
食物繊維には腸内細菌のバランスをととのえ、腸の動きを活発にする作用があります。
2種類に分けることができ、それぞれ働きが違います。
・水溶性食物繊維:便を柔らかくする
バナナ・りんご・みかん(かんきつ類)などの果物、海藻、穀類、里芋などに多く含まれている
・不溶性食物繊維:便のかさを増やす
ほうれん草・キャベツ・かぼちゃ・ブロッコリーなどの野菜、大豆、さつまいもなどに多く 含まれている
発酵食品
発酵食品は、微生物の力で食材があらかじめ消化しやすい形になっています。
また、乳酸菌や麹菌、納豆菌、酵母菌、酢酸菌などの善玉菌が豊富に含まれているため、腸内環境を整えることができます。
離乳食で使える主な発酵食品には、納豆、味噌、醤油、塩麹、ヨーグルトなどがあります。
便秘解消に和食が効果的な3つの理由
水分、食物繊維、発酵食品がうまく取り入れられているのが、実は「和食」です!
「和食」は、ご飯、汁物を中心に野菜などを使ったおかずを組み合わせた食事の形をいいます。この組み合わせが、なぜ便秘解消に効果的なのでしょうか。
その理由を3つお伝えします。
ご飯にも便秘解消効果がある
ご飯のでんぷんの中には「難消化性でんぷん」が含まれています。
難消化性でんぷんは、小腸で分解・吸収されにくい性質をもつでんぷんのことで、食物繊維と同じ働きをします。
しかし、食物繊維と大きく違う点があります。
それは、「水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方の働きをもっている」ことです。
ご飯と野菜を組み合わせる和食は、難消化性でんぷんと食物繊維を両方摂ることができるため、便秘の予防、解消に効果があります。
さまざまな発酵食品が使われている
日本では昔からさまざまな発酵食品が作られています。
大豆を発酵させる納豆や味噌、和食の調味料としてよく使われる醤油、みりん、酢、酒に加えて、かつお節やぬか漬けなども発酵食品になります。
食事を和食にすることで、これらの発酵食品を取り入れやすくなります。
しかし、大量生産されているものの中には、人工的に発酵させていたり、流通の都合から発酵を止めているものもあります。
製品を選ぶときには、原材料に添加物がないもの、昔ながらの製法で作られているものを選ぶことをおすすめします。
野菜、芋、豆、海藻をバランスよく使っている
これらの食材は、長期間保存できるものも多く、日本ではよく食べられてきた食材です。
食物繊維が豊富に含まれています。
また、豆やさつま芋、玉ねぎ、ごぼうなどには「オリゴ糖」も含まれています。
オリゴ糖には、腸内の善玉菌を増やす働きがあり、母乳や味噌、醤油などにも含まれています。
赤ちゃんにも家族にも使える!便秘解消作りおきレシピ
水出し昆布だしで食物繊維と旨味をアップ!
海藻のネバネバは、アルギン酸という水溶性食物繊維の1つです。
海苔は離乳初期から、その他の海藻は中期から使うことができます。
しかし、小さく切る、やわらかく煮込むなどの注意が必要になります。
その点、水に昆布をつけるだけの水出し昆布だしは、離乳初期から使うことができ、様々な料理にも活用できます。
また、昆布に含まれるグルタミン酸は、母乳にも含まれている旨味成分です。
料理を味わい深くしてくれるので、離乳食作りにも大活躍します。
【水出し昆布だしの作り方】
<材料> 水1ℓ、昆布10g(水の1%が目安)、麦茶ポット
<作り方> 麦茶ポットに水と昆布を入れ、冷蔵庫で5時間以上置く
【水出し昆布だしを使うときの注意点】
・必ず加熱してから使う。
離乳食作りは、加熱が基本です。
できあがった料理に入れるのではなく、野菜を煮る時に一緒に入れるなどして、だしにも一度火が通るようにしましょう。
・摂りすぎには注意する
昆布にはヨウ素が含まれています。
ヨウ素は摂取量の上限が決まっているため、摂取量が気になる方は、キャベツ、さつまいも、大豆(味噌や納豆などでも)といった、ヨウ素の吸収を妨げる食材と一緒に使ってください。
・冷蔵庫で保管し、2~3日以内に使い切る。
作り置きが便利!野菜の昆布だし煮
私がよく作っていた離乳食をご紹介します。
そのまま食べたり、他の料理と合わせることもできるので、とても便利です。
【材料】
・季節の野菜 3種類程度(大根、人参、かぶ、小松菜、さつま芋など)
・水出し昆布だし
【作り方】
①野菜を切る
にんじん、大根などの固い野菜、芋類…1㎝程度の厚さ(大きければ半月かいちょう切りにする。)
葉物…2㎝程度のざく切り
※アクが強いもの(ほうれん草など)やぬめりがあるもの(里芋など)は、一度別にゆでる。
②昆布だしをひたひた(野菜がかぶる程度)に入れる。
③野菜が柔らかくなるまでコトコト煮る。
固さは時期や月齢によって調節します。
④食べやすい形、大きさにする。
ある程度の大きさのまま煮る方が、繊維までやわらかくなります。
【ポイント】
①手づかみ食べができるようになったら、大きいままでかじらせることもできます。
②おかゆや他の料理と合わせたり、月齢に合わせて味噌や醤油で味つけをしてもよいです。
③残ったら、家族の味噌汁などにも使えます。
※冷蔵庫で保管し、2~3日以内に使い切る。
まとめ
日本で昔から食べられてきた和食には、お腹の調子を整えてくれる栄養素や微生物などがたくさん含まれています。
私の子ども3人は、離乳食の頃から和食中心の食事を食べていることもあり、便秘に悩むことなく元気に過ごせています。
「便秘解消のための離乳食」というと、何か特別な離乳食にしなくてはいけないのかと不安になってしまいますね。
でも、ご紹介した「野菜の昆布だし煮」のように、離乳食は食材そのものをいかしたシンプルなもので構わないのです。それは、便秘の時も、そうではない時も同じです。
離乳食の時期が終わると、家族と同じ料理を食べることが増えます。今回ご紹介した食事のポイントやレシピは、大人にも使えるものですので、家族みなさんで取り入れてみてはいかがでしょうか。