秋のこの時期、ぜんそくや皮膚のかゆみなど、子どもの身体の不調が気になることはありませんか。
この原因のほとんどは、ダニの死骸やフンによるものだと言われています。
ダニはアレルギーの原因となり、なんと小児ぜんそくの原因の約9割を占めています。
梅雨の時期からダニは増え始め、夏の間に繁殖し、秋になると死骸となって布に付着します。
布に付着すると家の中にたまりやすく、子どもの咳や皮膚のかゆみのリスクを高めてしまうのです。
今回は、秋口に行っておきたい家庭でのダニ対策について紹介します。
ダニについてしっかり理解をした後、ダニアレルギーの症状をケアする方法と、ダニから子どもを守る環境づくりをお伝えします。
家庭でケアできれば、無理して病院に行くことなく、子どもとの時間を増やすことができますね。
ダニについて知ろう!
ダニは、どうして家の中にいたり、ぜんそくの原因になったりするのでしょうか。
秋のダニから子どもを守るために、まずはダニについて理解していきましょう。
ダニってどんな生き物?
ダニは、昆虫ではなくクモやサソリの仲間です。
頭と胸、腹が一体となった胴体をもち、胴体の前方に口となる部分があります。
屋内に生息する種類は、「屋内塵性(おくないじんせい)ダニ類」と総称されます。
このうちアレルギーの原因となるのはヒョウヒダニです。
ヒョウヒダニの生息場所は、カーペットやベッド、布団などです。
ほこりや人のフケ、アカ、汗1gで約300匹のヒョウヒダニが生息できます。
では、なぜ秋にダニに気を付けた方が良いのでしょうか。
秋のダニには注意しよう!
秋はダニによる体の不調に、最も注意が必要な時期です。
ダニが活動的になるのは、次のような条件です。
<ダニが活動的になる環境>
・温度20~30度
・湿度が60~80%
・高温多湿な環境
つまり、6月~8月の高温多湿な時期は、最もダニが発生しやすい季節になるのです。
この大量発生したダニは、9月ごろになると多くが死滅します。
ダニのフンや死骸は、布の中に蓄積します。
そしてアレルギーの原因物質となり、身体の不調を引き起こしてしまうのです。
このように、秋は蓄積したダニの死骸やフンによってアレルギー症状が起こりやすい時期なのです。
ダニでアレルギーが起こる環境のメカニズム
ダニによるアレルギーを防ぐためには、アレルギーが起こる環境のメカニズムを理解しておく必要があります。
秋になると次のような流れで、ダニによるアレルギー症状のリスクが高まります。
1.秋は湿度が下がるため、カーペットやソファ、寝具などに付着したダニの死骸や糞が舞い上がりやすくなる。
2.空気中に舞うダニの死骸や糞が浮遊し、身体に触れたり、吸い込んでしまったりすることが増える。
3.吸い込んだダニの死骸や糞により、ぜんそくのような咳やかゆみなどのアレルギー症状を引き起しやすくなる。
このように、秋の気温の変化により舞い上がったり付着したダニや糞を吸い込んでしまうことにより、体にアレルギーの症状がでてしまうのです。
では、ダニが原因と思われるアレルギー症状には、どのような特徴があるのでしょうか。
ダニアレルギーとは?
ダニは、ハウスダストの1つです。
ハウスダストとは?
ダニ、ペットのフケ、繊維、カビなどの混合物であるチリ・ホコリのことをいいます。
ハウスダストにアレルギーがある人のほとんどは、ダニに対してもアレルギーを持っているので、ハウスダストが陽性の場合はダニアレルギーと診断されます。
しかし、現実にはアレルギーと診断されなくても症状が出ることが多いです。
ダニアレルギーの症状には、以下のような特徴があります。
・くしゃみ
・鼻水
・鼻づまり
・目のかゆみ
ダニアレルギーの4大症状として、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが知られています。
また、ダニアレルギーによりぜんそく発作を引き起こす子どももいます。
ダニによる体の不調は、風邪の症状とよく似ています。
そのため、風邪を引いたと勘違いして、体調改善のための必要な対策を間違えてしまうことがあるのです。
熱がなく、粘膜に症状がみられる場合は、ダニアレルギーによる反応の可能性が高いと言えます。
体調不良で病院を受診後、原因がわからなかったり、症状が改善されない場合は、ダニによるアレルギーも疑って対応してみましょう。
ダニから子どもを守り、不快な症状を軽減させてあげられたらいいですね。
子どものダニアレルギーの症状は、お茶でケアがおすすめ
ダニアレルギーによる症状は、とてもつらいものですよね。
原因となるダニを除去し、アレルギーが出にくい環境にすることが大切ですが、完全になくすことは難しいものです。
アレルギー症状の緩和には、しっかり病院にかかり必要な薬を利用することが大切ですが、ご家庭で症状を和らげる対策も合わせて行うと安心です。
ご家庭で気軽に利用しやすい対策の一つに、「お茶」があります。
ここでは、アレルギーの症状を和らげる「お茶」の使い方についてお伝えします。
アレルギー症状を和らげるお茶の効用と使い方
お茶は、喘息や咳を和らげる効果があるため、アレルギー症状を和らげるために気軽に利用しやすい食品です。
これは、お茶が持つ「抗ヒスタミン作用」によるものです。
ヒスタミンとは喘息を引き起こす成分のひとつで、気管支は特にヒスタミンに対して敏感です。
お茶を飲むと、気管支の収縮作用が抑えられ、ヒスタミンの作用を和らげてくれます。
静岡県立大学の研究者グループの研究によると、マウスの体重1kgあたり約120mgのお茶を投与することで、アレルギー反応が50%抑えることが分かっています。
この量は、人間に換算するとお茶10杯分に相当します。
気軽にご家庭で飲みやすいお茶を飲んで、家庭でケアできたら安心ですね。
しかし、夏以外の時期に10杯も飲むのは難しいかもしれません。
そこで、我が家が試している方法をご紹介します。
・子どもが気に入ったお茶を常備し、食事の時に飲む。
・複数種類のお茶を用意して、味の違いを楽しむ。
・水筒に入れて、特別感を味わう。
・ストロー付きのコップに入れて、飲みやすくする。
時間を決めるなど習慣にするか、子ども心をくすぐり飲みたいと思う工夫をすることが、ポイントですよ。
もしアレルギーの症状が出てしまったときは、ご家庭で上手にお茶を利用して、症状の緩和をしていきましょう。
では、ダニアレルギーの症状緩和に向いているお茶にはどのような種類があるのでしょか。
「サポニン」が応援!びわの葉茶
ダニアレルギーによる咳が気になるときは、びわの葉茶がおすすめです。
びわの葉茶の歴史は古く、江戸時代には「枇杷葉湯(びわようとう)」の名称で知られていました。
暑気払いなどの効能を謳って、街中で売られていたといわれています。
ほのかな甘みがあり、子どもから大人まで、飲みやすい健康茶です。
ご家族で一緒に飲めるお茶として、琵琶の葉茶を生活に取り入れてみましょう。
粘液を増やす「フラボノイド」が入ったルイボスティー
気管支の炎症の緩和には、ルイボスティーがおすすめです。
「ルイボス」とは南アフリカ共和国のセダルバーグ山脈に自生するマメ科の低木で、この木から作られるお茶を「ルイボスティー」と呼びます。
日本では認知度の高いルイボスティーですが、ルイボスは世界中で南アフリカのみで育つ貴重な植物です。
癖が少なく、ノンカフェインのお茶なので、子どもも安心して飲むことができます。
気管支症状が悪化しやすい夜間や就寝前などに、ノンカフェインのルイボスティーを利用してみましょう。
べにふうき茶は、特殊なカテキンで体質改善へ
べにふうきは、メチル化カテキンのパワーで喘息などの体質改善に役立ちます。
べにふうき茶は、野菜茶業研究所(元農林水産省野菜・茶業試験場)にて育成され、1993年に命名、紅茶・烏龍茶系品種として農林登録された茶品種です。
べにふうき特有のメチル化カテキンが、アレルギーにより様々な症状を引き起こすヒスタミンの放出を抑制することができます。
味がまろやかなことから、子どもが飲みやすいおすすめのお茶です。
なかなか目にすることがないお茶ですが、喘息などの症状が気になる場合はぜひ試してみましょう。
ダニアレルギーによる症状を緩和するお茶を継続的に飲むことで、体質が改善していくメリットもありますよ。
次に秋のダニから子どもを守るおすすめする方法は、掃除です。
秋のダニは、ファブリックの掃除でさようなら
秋に増えるダニの死骸や糞を除去するためには、布に掃除機をあてて吸引することや水洗いをして死骸や糞の汚れを落とすことが効果的です。
布製品ごとに適した掃除方法があるので、とりいれてみましょう。
ソファは、掃除機がおすすめ
布製のソファはクッションの隙間にダニの死骸が溜まりやすいため、ソファ全体へ丁寧に掃除機をかけましょう。
・掃除機に付属している細い隙間用のノズルを付けて、隙間を入念に吸い込む
→効率よくダニを排除することができる。
・掃除機をかけるときはほこりが舞うので窓を開ける。
→換気して、アレルゲンに触れにくくする。
ソファのカバーを外せる場合は外し、定期的に洗濯することで、よりアレルギーの発生を予防することができます。
ご家庭のソファーにあった手入れ方法を確認して、定期的に掃除機掛けやカバーの洗濯をするようにしましょう。
クッションは、天日干しでスッキリ
クッションは、晴れた日に天日干しすることがおすすめです。
・ビニール袋に入れて天日干しをする。
→袋の中の気温が温まり、ダニの死滅を促進することができる。
・2~3時間が経過したらクッションに掃除機をかける。
→ダニの死骸を排除できる。
天日干しをする以外にも、日ごろからベランダや庭で布目に入り込んだほこりを叩いて払い落とすだけでも効果がありますので、試してみてくださいね。
クッションカバーの洗濯ができると、さらに清潔を保つことができます。
お子さんが手で持ったり、顔にちかづける機会も多いクッションは、より丁寧に対策をしておきましょう。
布団は、1番力を入れて手入れしたい場所
実は、ダニの死骸やフンが1番多い場所は、寝具まわりです。
なぜなら寝具は人の体温で温められ、汗を吸うことで湿気を含み、ダニにとって居心地の良い環境になっているからです。
さらに布団にはダニの餌となるフケやアカが付着しているため、ダニが好む場所になっているのです。
次の対策をして、ダニが増えないように常に気をつけましょう。
・シーツや布団カバーなど、週1回を目標に洗濯する。
・敷布団など洗うことが難しい物も、なるべく週1回は天日干しする。
・普段寝ている面だけではなく、両面に掃除機をかけることです。
・掃除機は、1平方メートルにつき20秒程度の時間をかけてゆっくり吸引する
ちょっとした手間をかけることで繊維の奥に絡まったダニの死骸やフンを吸い尽くすことができますよ。
ぬいぐるみは、湿気をしっかり取ろう
ホコリが溜まりやすいぬいぐるみにも、ダニは発生します。
特に人の髪の毛やフケ、アカはダニの大好物ですので、その食糧を求めてダニが大量発生し、フンや死骸が溜まりやすくなります。
ぬいぐるみも他の布類と同じように、洗濯をして死骸やフンを洗い流すようにしましょう。
・洗濯後は、1日をかけてしっかりと乾かす。
・できれば晴れた日に行い、日光に当てる。
ダニが好む環境を作らないようにすることが、ポイントです。
市販のダニ取りシートやスプレーを活用するのも、1つの手です。
掃除や洗濯を工夫して、ファブリックの清潔が保てると、ダニから子どもを守ることができます。
まとめ
ダニは、人の老廃物や布に生息し、アレルギーを引き起こす原因になります。
ダニアレルギーの反応を起こすと、くしゃみや鼻水など不快な症状が出てしまいますが、お茶により症状を軽減することができます。
また、生活の癒しとなるクッションやソファが、ダニにとっても居心地が良い場所となるので、普段よりひと手間かけた掃除をすることで、ダニから子どもを守ることができます。
秋は涼しさが心地よく過ごしやすい季節なので、きれいになった部屋でゆっくりお茶をのみ、穏やかに過ごしたいですね。