9月1日は、防災の日です。
1923年に起きた「関東大震災」を受けて、防災の日が制定されました。
いつ起こるかわからない災害に対して、普段から備えができたら安心ですね。
今回は、災害時の食事について、どんな備蓄品を持っておくとよいかご紹介します。
まずは、我が家に食材がどのくらいあるのか振り返り、災害への備えをしましょう。
備蓄用食品のいろは
備蓄用食品は、日ごろから栄養バランスや、家族の好みに合わせて食品を選ぶことが大切です。
4つのポイントを活用して、備えておきましょう。
1:家庭にある食品をチェックする。
2:栄養バランスを考え、家族の人数や好みに応じた備蓄内容・量を決定。
3:足りないものを買い足す。
4:賞味期限が切れる前に消費し、消費したものは買い足す。
では、具体的に何をどのくらい用意しておくとよいか、見ていきましょう。
楽々調理!市販の備蓄用食品
市販されている備蓄用食品は、温めるだけ・開けるだけなど簡単な操作で食べられ、味付け不要で便利な商品がたくさんあります。
形状や種類など、様々な食品が販売されています。
(市販の備蓄用食品の例)
・缶詰…パン、お菓子
・乾物…乾パン、α米
・レトルト食品…カレー、丼ものの具
市販の備蓄用食品は、3年~25年持つ食品が多く便利なメリットがある一方で、費用がかさみがちで好みでない食材も含まれているというデメリットがあります。
さらに、期限が切れたことに気づかず、廃棄せざる負えないこともあります。
そこで最近では、「ローリングストック」が注目されています。
普段の食材で安心を得る「ローリングストック」
ローリングストックとは、普段の食品を少し多めに買い、使ったら買い足し災害時はその食材を使う方法です。
賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つことができます。
食品の保管スペースを少し増やすだけで済み、普段の買い物の範囲で災害時の備えができる点がメリットです。
期限が近づいても消費しやすいので、無駄な食品を用意せずに済みます。
おすすめのローリングストック食材は、以下のものがあります
・米
・パスタ
・缶詰
・レトルト食品
・調味料
・お菓子
乾燥している食品や、よく使う加工品などをローリングストックにするとよいでしょう。
家族が好みの食品を用意することができるのも、嬉しいポイントですね。
備蓄用食品の目安量は「家族の人数×3日分」
備蓄用食品は、家族の人数×最低3日分用意できると安心です。
これは、電気・ガス・水道などの生活インフラがダメージを受けるような大災害が起きた場合、通信や交通などを含めたライフラインの復旧には3日かかるとされているからです。
また救命活動の現場では、災害直後72時間(3日間)が勝負のため、3日間は物資の支援を期待するより備蓄で賄えると安心なのです。
実際の災害時は、物資の支援が始まる日は決められていないので、7日以上の備蓄ができるとなお安心です。
災害時は栄養バランスが偏りがちになるため、免疫力が落ちたり便秘になるなど、体調を崩してしまうことがあります。
そのため、栄養バランスも考えて備えられると、避難生活も安心して過ごすことができます。
では、どんな栄養素に注目するとよいのでしょうか。
災害時に大切な2つの栄養素
災害の現場では、たんぱく質・食物繊維が不足することが多くなります。
原因は、支援物資の多くがおにぎりやカップ麺のため、炭水化物に偏るところにあります。
被災の長期化に備え、栄養素を補う食材を備蓄品にプラスして、家族の健康を守りましょう。
エネルギー源と筋肉を維持する「たんぱく質」
災害時においてたんぱく質は、エネルギーや筋肉の維持と、免疫力の向上に役立ちます。
私たちの体がエネルギー源を使う時、多くの場合は食べ物から摂取する糖が使われます。
糖が足りなくなると筋肉中のアミノ酸を使ってエネルギー源を確保するのですが、それでも足りない場合は、筋肉を分解することで得られたアミノ酸を使いエネルギー源とします。
災害時は、心身ともにストレスを感じやすく、想像以上にエネルギーを消耗されてしまいます。
エネルギーとたんぱく質の補給が十分でないと、不足する分は筋肉から分解され使われてしまうため、食べ物で補う必要があるのです。
(たんぱく質が多く含まれる備蓄用食品)
・サバ缶
・ツナ缶
・コンビーフ
・粉チーズ
・スキムミルク
・きな粉
上記のような食品をあらかじめ家庭に備えておき、いざという時に活用したいですね。
便秘から家族を守る「食物繊維」
災害時は、野菜や果物などの生鮮品を食べる機会がほとんどなくなるため、食物繊維不足から便秘になりやすいです。
食物繊維は2種類あり、各々主に2つの特徴があります。
食物繊維が便を作る手助けをし、排泄しやすい環境づくりをしてくれます。
災害時でも適切な排泄を続けるために役に立ち、快適に過ごすことができるというわけです。
下記に、食物繊維を含む備蓄用食品の例を示します。
(食物繊維が多く含まれる備蓄用食品)
・豆の缶詰
・押し豆
・切り干し大根
・ひじき
・海苔
・かつお節
・トマト缶/コーン缶
・ドライフルーツ
これらの食材の中から、家族が良く食べる食品をリストアップしてみましょう。
あらかじめ必要な食品が分かっていると、いざという時にすぐ使うことができますよ。
次に、災害時に不足しがちな栄養を補うことができるレシピを2つ紹介します。
災害時の調理と栄養サポートレシピ
災害時に補給しにくいたんぱく質・食物繊維を使ったレシピを2つ紹介します。
ポリ袋調理は便利ですが、手順が普段の調理と異なるので、練習しておくと安心です。
ライフラインが停止すると、使える資源が限られてしまうため、サブアイテムも用意できると心強いですよ。
片づけを簡便に!便利なサブアイテム
災害時は、十分に水を使えないことから洗い物を減らす必要があります。
食事で使うお皿や食具は、洗えなくても衛生的に使えることが理想です。
そこで便利な道具が、以下のものです。
レシピにもあるように、ポリ袋は袋の中で調味・調理が容易なので、余分な道具を使うことなく料理できます。
ただし、耐熱性がないと危険なので、耐熱かつ食品用のポリ袋を選択しましょう。
また、そのまま鍋に入れて加熱することで鍋を洗う必要がなくなります。
写真のように、家庭にあるお皿にポリ袋ごと盛り付けすると、衛生さと食べやすさを確保できます。
もしポリ袋が不足の場合は、お皿に関してはラップやアルミホイルで代用できます。
普段使っている日用品に+1つ予備を持っておくと安心ですよ。
缶詰で「ツナトマリゾット」
ツナ缶とトマト缶を使った洋風レシピです。
ツナはたんぱく質を含み、トマトは食物繊維を含んでいます。
また、ツナのイノシン酸とトマトのグルタミン酸のうま味成分が手を取り合い、おいしいリゾットができます。
ごはんは、レトルトのごはんやおにぎりで代用可能です。
トマトソース缶は、にんにくや香辛料が含まれているので、味付けの手間なく美味しく作ることができます。
好みの味付けにしたい場合やトマトソース缶がない時は、トマト缶+コンソメ+ケチャップに置き換えて味付けしましょう。
安全のためにポリ袋は、袋が鍋に接触しないようお皿の上に置き加熱します。
できれば、袋の厚みがあるものを用意すると安心です。
袋のまま1人前作ることができるので、人数によって分ける手間がないメリットがありますよ。
乾物で「マカロニあべかわ」
マカロニときな粉を使ったおやつレシピです。
マカロニもきな粉も乾物なので保存がききやすく、普段の食事にも取り入れやすい食材なのでローリングストックにできます。
きな粉は「畑のお肉」と呼ばれる大豆から作られ、たんぱく質を豊富に含む食材なので、災害時の栄養補給にぴったりです。
また、大さじ1杯で 1日5g以上の食物繊維 をとることができるため、便秘も予防するおすすめの食品です。
マカロニの茹で方をマスターすれば、違う味付けやレトルトソースなどを使って、バリエーションを増やすことができます。
形や種類が豊富なマカロニは、どれをストックにするか選ぶ楽しさもありますよ。
食事を好みの味へ変身「調味料」
災害時は、体への栄養補給とともに、心への栄養補給も大切です。
好きな時に好きなことをすることが難しい災害の現場ですが、食事を好みの味に近づけることは可能です。
家族が好きな調味料のストックをしておけば、容易に味を変えることができるため、災害時の食事に役立ちますよ。
(味を変える例)
ツナトマリゾット→バジルツナトマリゾット
マカロニあべかわ→マカロニココア
料理が得意になれば、災害時にも役立ちます。
災害時のことを頭の片隅におき、普段の生活から備蓄用食品も料理も備えができるとよいですね。
まとめ
災害時の備えは、備蓄用食品の購入や、ローリングストックで賄うことができます。
ローリングストックは、普段の食材購入の延長で整うため、食材を無駄なく使うことができるおすすめの方法です。
家族に必要な量は、人数×3日分を目安とし、よく使う食材が備蓄用食材にできるか考えてみましょう。
不足しがちな栄養素を取り入れたレシピを活用すれば、体の様々な不調を未然に防ぐことができます。
たんぱく質・食物繊維を含み、家族の好みを考慮したラインナップをそろえることで災害時の安心に繋がります。
いざという時に家族を守れるよう、普段から災害を意識して食材調達していけるとよいですね。