桜の次は、新茶の季節がやってきます。
お茶にも旬があり、日本茶の旬は今がおいしい時期です。
農作物であるお茶は、毎年気温や天候により同じ味が作られることはありませんが、新茶は格別に美味しいです。
新茶の特徴を知れば、1年に1度の旬のお茶を存分に味わえますよ。
新茶を知って、今だけの美味しさを堪能しよう
日本茶の産地の多くは茶摘みの時期が何度も訪れますが、新芽の季節は短く、一年に一度の新茶のシーズンは茶畑の最盛期です。
最初に摘まれる「初物(はつもの)」の意味が込められ、生産者の特別な思いもあります。
新茶は、他のお茶とどのような違いがあるのでしょうか。
新茶と他のお茶の違いは「香り」と「うま味」
1番茶である新茶は、その次に収穫される2番茶に比べて香りが高く、良質です。
理由の1つに、栄養成分があります。
お茶の木は、冬の間生長を止めて栄養成分を蓄えます。
春になって芽吹いた新芽は、収穫までにゆっくり成長することで、アミノ酸に由来する「うま味」と「甘味」のある風味が増します。
春ならではのうま味と甘味の調和を楽しめるのは、新茶ならではですね。
新茶の味わいは「品種」「製法」「茶園」で決まる
新茶の味わいは、育った環境や加工の方法によって変わってきます。
同じ煎茶でも、鹿児島や静岡では2~3倍長く蒸す「深蒸し煎茶」が有名です。
また九州の一部では、生葉を高温の釜で炒る「釜炒り茶」という伝統的な製法もあります。
違いを知ると、新茶の魅力がどんどん増していきますよ。
では、新茶のシーズンはいつ頃やってくるのでしょうか。
日本茶の代表的な産地と“新茶前線“
新茶のシーズンは、5月初旬がメインといわれています。
桜前線のように、お茶の旬は南から始まり全国を北上していきます。
新茶と聞くと、「夏も近づく八十八夜~」という『茶摘み』の歌を思い浮かべます。
立秋から数えて88日目にあたる新茶の茶摘みの最盛期を歌ったもので、5月の初めがお茶の旬にあたります。
しかし、実際のところ新茶の茶摘みのシーズンは、地域によって異なります。
代表的な産地と特徴について、みていきましょう。
新茶前線のスタート「沖縄・屋久島・種子島」
お茶の旬の皮切りは、日本の南の地域です。
桜前線と同様に、温かい南から新茶のシーズンが始まります。
沖縄・屋久島・種子島では、3月末から収穫が始まります。
種子島の新茶は、日本で一番早い新茶として知られています。
新茶の販売時期
4月上旬~5月上旬
フレッシュ感が特徴で、個性豊かなお茶が揃います。
個性豊かなお茶が集まる「九州地方」
九州地方では、4月初旬からお茶の収穫が始まります。
鹿児島の知覧や佐賀の嬉野、福岡の八女など、渋みが少なく濃厚な甘みが特徴のお茶が集まります。
温暖な気候で育つ多彩なお茶は、風味のゆたかさも見逃せない特徴となっています。
新茶の販売時期
4月中旬~6月上旬
人気のお茶から、希少な品種まで幅広い新茶が揃っているため、人気が高まっています。
お茶の名産地「静岡」
静岡のお茶は安定したいつもの味と、ブレンドによる味の二つが楽しめるところが特徴です。
毎年、4月の終わりから5月の上旬にかけてお茶の収穫が始まります。
通常は年4回、収穫の時期がありますが、1番茶といわれる初めに収穫されるお茶は新茶前線にのってきます。
新茶の販売時期
5月~6月
お茶の栽培に向いた気候の静岡では、安定して長くお茶の栽培ができるため、市内に多くの産地があります。
ブランド力のある「京都・奈良・滋賀」
京都・奈良・滋賀のお茶は、繊細さと高級感を兼ね備えた味わいが特徴です。
収穫は、4月の終わりから5月の中旬にかけて行われます。
京都の「京番茶」、奈良の「宇治茶」など銘柄が揃います。
新茶の販売時期
5月~6月
お茶の品種に、地名が使われていることが多いです。
香りと味わいが格段に変わる「新茶の淹れ方」
お茶をいれる際のお湯の温度は、高ければよいというものではありません。
引き出したいお茶の特徴や成分によって、最適なお湯の温度があります。
新茶を美味しく入れる温度について、見ていきましょう。
美味しい新茶は、お湯の温度がカギ!
新茶は、70~80度のお湯で淹れると最も美味しいお茶になります。
理由は、お湯の温度によって浸出するお茶の香味成分が異なるからです。
うま味成分のアミノ酸は50度以上の低温で溶け出しやすいとされているため、渋みを抑えてうま味成分を引き出すことができます。
渋み成分は、渋み成分のカテキンは80度以上の高温で溶け出しやすいです。
よって、香り良く渋みを抑えつつも、うま味を楽しむ新茶には、70~80度のお湯の温度が適しているというわけです。
新茶の美味しい淹れ方
新茶の美味しい淹れ方は、温度がポイントです。
湯のみと急須の温度を意識して、お湯を使ってみましょう。
少し手間はかかりますが、3.の蒸らしがあるとないとで大きく味が変わります。
新茶の特徴である「うま味」と「甘味」が特に感じられるので、試してほしいところです。
ペットボトルの緑茶や、ティーバッグで淹れた緑茶との違いが分かると、お茶を淹れるのが楽しくなりますよ。
さて、最後に新茶をもっとおすすめしたい話を紹介します。
新茶の「テアニン」は、心と体の健康にぴったり
新茶はお茶のなかでも緑茶に分類されます。
緑茶は不発酵茶といって、葉を摘み取ってから早めに加熱して葉の中にある酵素の働きを止め、酸化を起こさせないのです。
そのため、緑茶はうま味成分であるアミノ酸を多く含んでいます。
アミノ酸のなかでも半分以上を占めているが、「テアニン」です。
テアニンには、どのような力があるのでしょうか。
ほっとひといき♪
テアニンを含むお茶を飲むと、α波が放出され脳がリラックスした状態になります。
α波はテアニンを含まない飲料を飲んだ時には得られず、テアニンの効果だということが分かっています。
また、リラックスした状態になることで、交感神経が抑えられます。
血管の収縮が抑えられ血行が良くなるため、体の温かさを感じやすく、心もほっとしやすくなります。
忙しい新生活を乗り越えて、新茶でほっと一息つきたいですね。
夜もぐっすり
テアニン含むお茶を飲んだ人は、テアニンを含まない飲料を飲んだ人よりも、睡眠の質が向上したと感じる人が増えたというデータがあります。
【実験者の感想】
・寝つきが早くなった。
・途中で起きてしまうことが減った。
・よく眠れた感覚を得やすい。
・睡眠の質が向上したと感じる。
テアニンによって睡眠中の目覚めが少なくなったことも、この睡眠改善における自覚効果には関係しています。
人によって眠りの悩みは様々ですが、これだけ多くの効果が期待できます。
睡眠は人生の3分の1をも占めるといわれているので、テアニンを含む新茶を飲んで快眠したいですね。
集中力UP!
よく眠れることで集中力が上がる他に、テアニンには適度に体をほぐして集中を高める力があります。
単純作業の連続やストレスによって意欲が低下し、眠気も相まって集中力が低下してしまうと、作業が全くはかどらずさらにストレスがかかります。
ところが、テアニンを含むお茶を飲むと脳がリラックス状態変わり、ストレスから解放されます。
人間は、適度なリラックス状態を維持できているときに最も力を発揮するといわれています。
テアニンが、本番に強い心構えを手助けしてくれるというわけです。
新茶にはテアニンが多く含まれるため、健康への恩恵をたっぷり受けられますよ。
まとめ
新茶はその年最初の新芽のことで、1年に一度だけ味わうことのできる旬のお茶でもあります。
品種や製法、茶園により異なる風合いを持つ新茶は、この時期だけ飲むことができる緑茶です。
地域ごとの特徴はありますが、いずれの新茶も「香り」と「うま味」が特徴です。
お湯の温度を70~80度で淹れた新茶は、格別な味わいがあります。
見逃せない栄養成分のひとつである「テアニン」は、心も体も癒してくれます。
新茶を楽しんで、元気に過ごしたいですね。