沢山の黄色い小花を咲かせる菜の花は、春の風物詩の1つです。
1~4月ごろに旬を迎え、甘くほろ苦い味わいが特徴です。
花が咲き始める前に収穫される食用の菜の花は、最も風味がよく新鮮さを楽しむことができます。
今回は、菜の花に含まれる栄養素を逃さずおいしく食べるレシピをご紹介します。
菜の花の素晴らしき「ビタミンC」
菜の花には様々な栄養素が含まれていますが、中でも「ビタミンC」がとても多く含まれています。
他に菜の花の栄養素の魅力は、どのようなところにあるのでしょうか。
菜の花に含まれる栄養素量
菜の花のビタミンCは、130mg/100g含まれています。
和種なばな(可食部100gあたり)
エネルギー…34㎉
たんぱく質…4.4g
炭水化物…5.8g
カリウム…390㎎
カルシウム…160㎎
鉄…2.9㎎
β-カロテン当量…2200μg
ビタミンB1…0.16㎎
ビタミンB2…0.28㎎
ビタミンB6…0.26㎎
葉酸…340㎍
ビタミンC…130㎎
ビタミンE…2.9mg
食物繊維総量…4.2g
成人の男女が1日に必要なビタミンCの推奨量は100mgなので、菜の花を100gも食べれば充足できます。
◆ビタミンCの推奨量
男性(mg) | 女性(mg) | |
8~9歳 | 70 | 70 |
10~11歳 | 85 | 85 |
12歳以上 | 100 | 100 |
妊婦 | ― | +10 |
授乳婦 | ― | +45 |
ビタミンCは体内に貯蔵されていますが、食事内容によっては欠乏状態になる可能性もあります。
また、ビタミンCを余分に摂取しても排泄されるため、耐容上限量は設定されていません。
しかし、ビタミンCの過剰摂取によってカラダの不調が現れた報告があるため、摂りすぎには注意が必要です。
菜の花には、豊富に含まれるビタミンCと相性の良いビタミンEが含まれています。
どのようなはたらきが、得られるのでしょうか。
ビタミンC×ビタミンEの相乗効果
ビタミンCとビタミンEを一緒に摂取すると、相乗効果が得られます。
まずはそれぞれの主な働きをみていきましょう。
ビタミンCのはたらき
・皮膚や粘膜の健康維持
・コラーゲンの生成
・鉄の吸収を促進
・免疫力の向上
・ストレス耐性の強化
ビタミンEのはたらき
・強い抗酸化作用
・活性酸素の抑制
・血行促進
・ホルモンの活性化
ビタミンCを摂取しても、役目が終わると尿中に排出されてしまいます。
しかし、ビタミンEを一緒に摂取すると体内で有効利用され、抗酸化作用が持続されます。
逆にも同様の効果があり、お互い良い結果を生むというわけです。
水溶性ビタミンを逃さないコツ
健康に役立ち、ビタミンEの手助けもするビタミンCですが、栄養を逃さず取り入れるために気を付けたいことがあります。
ビタミンC摂取における注意点
・水に溶けやすい
・熱に弱い
ビタミンCは水溶性ビタミンであるがゆえに、調理の過程で栄養素が損失してしまう可能性があります。
注意点を踏まえて、次のように調理すると栄養素を摂取しやすくなります。
菜の花調理のポイント
・短時間でさっと茹でる
・大きめに切る
では、具体的にどのように茹でたらよいのでしょうか。
菜の花の茹で方と保存
菜の花に多く含まれるビタミンCは、水や熱に弱い特徴があります。
栄養素を逃さず、見た目良く茹でるコツを見ていきましょう。
菜の花の基本の茹で方
菜の花の茹で方のポイントは、つぼみ部分と茎部分に分け、時間差をつけて茹でることです。
太さが違う場合は、縦に切ってなるべく同じ太さにしてから茹でると同じ食感に仕上がりますよ。
茎の太さと茹で時間の目安は、以下の通りです。
菜の花は、茹で時間に気を付けると色味も栄養もよく茹であがります。
塩を入れるのは、えぐみを抑えてうまみを引き出すためです。
湯から引き上げてそのままだと余熱で火が通りすぎてしまうので、冷水でしっかり冷やします。
次に、茹でた菜の花の保存期間と保存方法をお伝えします。
茹でた菜の花の保存期間と保存方法
茹でた菜の花の保存期間は、冷蔵で4日程度です。
できるだけ素手で触れず、手袋やトングなどを活用するとより衛生的に保存できます。
【冷蔵保存】
・水気を絞った菜の花を、キッチンペーパーなどでさらに水気を拭き取る。
・冷蔵保存用の密閉用に入れ、4℃で保存する。
特に花やつぼみの部分に水分が残りやすいので、しっかりふき取ると傷みにくく保存できます。
冷凍保存する場合の保存期間は、2週間程度です。
茹でた後の菜の花は小分けにしてラップに包み、冷凍用の保存袋に入れましょう。
では最後に、茹でた菜の花を使ったレシピをご紹介します。
短時間で栄養摂取率UPの菜の花レシピ
菜の花は、茹で方さえ覚えてしまえば様々な料理に使うことができます。
鮮やかな色どりと、よい食感の菜の花料理の紹介です。
風味豊かな「菜の花のお浸し」
おひたしは、「だし汁+醤油+みりん」の組み合わせが基本です。
ただ、菜の花に関してだけは『菜の花のゆで汁を、だし代わりに使うことができる』というのがポイントです。
菜の花のゆで汁は、風味が良く、昆布だしに近いようなうまみが感じられるので、だし代わりに使えます。
ゆで汁に少量のからしを混ぜて漬けると、からし和えにアレンジすることもできます。
春の雰囲気を楽しむ「菜の花スープ」
あらかじめ茹でた菜の花を使うことで、彩りよく手軽に作ることができるスープです。
かきたまにした卵が、菜の花のように花を咲かせる見た目も、春の雰囲気を作ります。
脂溶性ビタミンであるビタミンEは、油脂と一緒に食べることで栄養素の吸収率が良くなります。
スープに入れるベーコンやオリーブオイルが、さらに健康に力を添えてくれますよ。
まとめ
菜の花は、春が旬の色鮮やかな食材です。
ビタミンCが野菜の中でも特に多く含まれ、健康に役立ちます。
また、ビタミンEも含まれているため、菜の花を食べるとそれぞれのビタミンが支えあい、酸化を予防します。
ビタミンCは水溶性ビタミンなので、水と熱に弱い注意点があります。
茹でるときは時間に気を付け、大きめに切るとビタミンCの損失が少なく済みます。
菜の花の茹で方を知って、春を元気に過ごしたいですね。