6月4日~10日は、歯と口の健康習慣ですね。
この週間は、歯と口の健康に関する正しい知識を増やし、歯や口の病気の予防に向けた適切な習慣を身に着けることを目的としています。
また、政府は経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)案で、国民に毎年の歯科健診を義務付ける「国民皆歯科健診」制度が検討され、歯の健康に注目が集まっています。
子どもの口の中を確認するよい機会ですが、よく噛むことが歯の健康にながることはご存じでしょうか。
子どものころからの健康的な生活習慣は、豊かな人生につながります。
いつまでも健やかによく食べよく笑う、そんな毎日を送るため、今から歯と口の健康づくりにチャレンジしてみませんか。
この記事では、子どもがあまり噛まない理由やその改善策と、よく噛むことのメリットをお伝えします。
まずは、子どもよく噛むと、どうしてよいのかみていきましょう。
よく噛んで食べるメリット
子どもがよく噛んで食べると、健康増進に役立つメリットがたくさんあります。
よく噛むと、唾液がたくさんでたり、顔の筋肉が鍛えられたりしますが、これが身体にどんなよい変化をもたらすのでしょうか。
次項から、よく噛んで食べるメリットをお伝えします。
いいこといっぱいの唾液の働き
よく噛むと唾液がたくさん出るようになります。
唾液は、体の健康に役立ちます。
・唾液の消化酵素で、口の中をきれいに保つ。
・唾液は、胃腸の働きを活発にする。
・虫歯や歯周病から歯を守る。
食べ物を見て、味を想像することでも唾液は出てきます。
今日のごはんを紹介したり、料理を作る様子をみせたりして、唾液の分泌を促しましょう。
歯の病気予防に、唾液が役立ちますよ。
肥満を防いで元気に活動
よく噛むとゆっくりと食べることができるので、満腹感を得やすくなります。
お腹がいっぱいになったと感じやすいため、食べすぎを防ぐことができます。
また、たくさん噛むことで抗肥満に役立つ神経物質ヒスタミンが放出されるため、過剰な食欲を抑制できます。
その結果、肥満になりにくい習慣を身につけることができます。
将来、糖尿病や脂質異常症になるリスクを下げることもでき、ずっと健康的に過ごすことができますね。
筋力・集中力アップ
よく噛むことができると、口の周囲の筋肉がきたえられます。
歯応えのある食物を何度も噛むには上下のあごの骨、咀嚼筋や舌の筋肉、表情筋などを柔軟に動かす必要があるからです。
噛むことを繰り返すうちに次第にあごや各筋肉が鍛えられ、生活を豊かにしてくれます。
・口の周囲の筋肉が育ち、あごの発達を促します。
・表情が豊かになります。
・脳の働きが良くなり、記憶力があがります。
・きれいな歯並びに近づき、発音が良くなります。
・集中力アップにつながります。
・瞬発力があがり、足が速くなったり、ボールを遠くまで飛ばせるようになります。
よいことたくさんの「よく噛む」習慣が、子どもの日常になるといいですね。
よく噛む習慣が健康に良いことはわかりますが、子どもはよく噛まずに飲み込んでしまうことが多いですよね。
なぜ、よく噛むことが難しいのでしょうか。
子どもが噛まないのは、どうして?
子どもが食べる様子を見ていると、ついつい飲み込んでしまうことがありますよね。
あまり噛まない様子を見ると心配になってしまします。
子どもが、あまり噛んでくれない原因をみていきましょう。
原因①噛まないで飲み込めるものばかり食べている
やわらかいものばかりを食べていたり、麺類が多かったりすると、噛む習慣が薄れてしまいます。
また、食材をすべて小さく切ってしまうと、噛まずに飲み込みやすくなります。
柔らかい食べ物は噛まずに飲み込めるため、「噛む」必要がないので、自然に噛む回数が減ってしまうのです。
子どもの食事は喉につっかえるのを気にしたり、しっかり量を食べてほしいという思いから、必要以上に柔らかかったり小さくなってしまっていることが多いです。
ハンバーグやつくねなどやわらかい料理は、あまり噛まなくてもすぐに飲み込むことができます。
また、麺類や納豆などのどごしがよい食材も、噛まずに飲み込みやすいです。
そして、小さく切られた食材も、のどを簡単に通っていくので噛む回数が減ります。
このように、食べ物の硬さや大きさが原因で、あまり噛まないで食べてしまうことがあります。
原因②食事に集中できない環境
テレビがついていたり、周りにおもちゃがおいてあったりすると、食事に集中することができません。
子どもの関心が他のところにいってしまうため、噛むことがおろそかになってしまいます。
五感を刺激するものが周りにあると、噛むことに集中できません。
食事のときに、次のようなことができているか確認してみましょう。
・子どもの目に入るところは、食事に関係するものだけ置く。
・テレビを消す、窓を閉めるなど、音を遮断する。
・布巾やおしぼりなどを、子どもから離れたところに置く。
・食事以外の食べ物や飲み物は、しまっておく。
・香水や室内除菌剤は、食事の時間を避けて使う。
1つでもできていれば、子どもが食べやすい環境に近づきます。
食べる前にテーブル周りを確認して、噛む回数が増えるような配慮ができると素敵ですね。
原因③お腹が空いていない
子どもがお腹を空かせていない状態で食事の時間を迎えると、食べる意欲が少ないために噛む回数が減ってしまいます。
食事の時間が不規則だったり、間食が多かったりすると、子どもはあまりお腹が空きません。
この状態のまま食べ始めると、違うことに興味がいってしまったり、食べたくない気持ちになったりします。
お腹がいっぱいの時は、食べることがあまり楽しくないので、もっと楽しいことを自然と探してしまいます。
なので、朝・昼・晩の食事と間食の時間をなるべく同じにして、お腹を休める時間を作り、子どもの空腹感を作りましょう。
お腹を空かせてから食事の時間を迎えると、噛む回数が増えますよ。
よく噛むためのポイントを教えて!
子どもがあまり噛まない原因と、よく噛むメリットが分かりましたが、具体的にどんなポイントを意識したら、噛んでくれるようになるのでしょうか。
まずは、噛む回数を5回増やそう
子どもがよく噛むために、噛む回数を意識しましょう。
日本歯科医師会によると、ひとくちにつき30回以上噛むことが理想とされています。
ひとくち30回を目標に、まずは噛む回数を5回増やしてみましょう。
子どもでも、5回なら挑戦しやすい回数です。
30回噛むことを目標に、小さな目標も作ってステップアップしていきましょう。
数回でも噛む回数が増える様子が見られたら褒め、子どもの意欲を伸ばすことができます。
「何回出来るかな?」と興味をひいたり、「5回増えたね、かっこいい!」と褒めたりするとやる気につながります。
できる回数から増やして、褒めて、子どもの噛む習慣を育てましょう。
薄味で食べる集中力アップ
普段の食事の味付けを8~9割くらいにすることで、食べる集中力があがります。
これは、脳が味覚を認識しようとするため、食事に意識がいくからです。
「なんの味だろう?」と探るうちに、噛む回数が増えて、よく噛む習慣になっていきます。
薄味は、ゆっくり食べることにもつながるので、噛むことに集中できます。
子どもが噛むことを楽しめるよう、味付けの濃淡を工夫してみましょう。
口のなかが健康になる習慣を身につけよう
口の健康が維持できれば、身体も元気になっていきます。
よく噛む習慣に加えて、口の中の健康を守る習慣にはどのようなことがあるのか、見ていきましょう。
1日3回の食事の時間をなるべく同じに
朝・昼・晩1日3回の食事と間食の時間を大体同じにすることで、消化のリズムができます。
また毎日、規則的に食事をとると、口のなかの環境を整える時間ができます。
すると、虫歯になるリスクを下げることができます。
食後の口のなかは、次のような変化が起きています。
≪食後の口の中の様子≫
食事をすると、口腔内に糖分が入ります。
糖分は、口腔内の虫歯菌の栄養源になります。
虫歯菌は糖を得て、酸を作ります。
これにより、口の中が酸性に傾くと歯が溶けます。
ただし、いつまでも酸性に傾いている訳ではなく唾液によって、再びもとの状態に戻っていきます。
元の状態に戻るのと、再石化によって歯は守られています。
しかし、ちょこちょこ食べて口のなかにいつまでも食べ物があると歯が溶け出す時間が多くなり、元に戻る時間がわずかしかなくなってしまいます。
規則正しい生活を送り、口の中の環境を戻す時間を作っていきましょう。
食べたら忘れず歯磨きしよう
食べ物を食べた後は忘れずに歯を磨いて、口の中の汚れを落としましょう。
虫歯菌や歯周病菌が繁殖しにくい環境を作ることができます。
口の中の汚れは、細菌の塊だと思ってください。
汚れが付いたまま時間が経つと、細菌は食べ放題の状態になります。
寝ている間は口のなかが温かくなり、細菌が活発に動くので、特に夜は丁寧に磨くと安心です。
できたらフロスを使うことがおすすめです。
歯の隙間の汚れは、歯ブラシだけでは取り切れませんが、フロスを使うことで清潔に保てます。
フロスは、好みの長さに切ることのできるタイプの商品があるので、家族みんなで使うことができますよ。
歯の定期健診でばっちり!
歯医者さんに健診に行くと、専門家の目線でしっかりと歯の健康をチェックしてもらえます。
口のなかを見て、触って、時には歯磨き指導もしてくれます。
歯の生え方や、口の大きさなど、子どもごとに違いはたくさんあります。
かかりつけの歯医者さんを見つけて、同じドクターに定期的に見てもらえると安心ですね。
長男は2か月に1回、歯科検診に行っています。
現在6歳ですが、1度も虫歯になったことはありません。
歯科検診では、歯磨き指導もしてもらえます。
歯を染めて、親の仕上げ磨きができているか確認することができます。
また、子どもが自分で磨けるように歯磨き指導もしてくれます。
長男は、歯磨き指導が億劫な様子をみせることもあります。
しかし、定期健診で通うたびに自分の歯に興味をもつようになり、1人で歯磨きができるようになりました。
歯の定期健診は年に1∼2回が目安です。
頼れる歯科を見つけて、通える頻度で子どもの口の中の健康をサポートしてもらいましょう。
まとめ
よく噛むと、体にいいことがたくさんあります。
歯の病気や肥満、生活習慣予防に繋がり、筋力と集中力をあげることができます。
体のパフォーマンスがよくなると、運動や勉強が楽しくなります。
子どもの生活を良くするためにも、一役買っていることがわかりますね。
子どもが噛んでくれない原因は、食べるときの環境や、空腹関係があります。
食べることに集中できる環境づくりに配慮して、噛む回数を増やしていきましょう。
よく噛む習慣は、生涯元気に暮らす近道です。
子どものうちに習慣づけて、毎日元気に、楽しく過ごしていきましょう。