共働き夫婦、核家族、単身世帯は、年々増えています。また、コロナ禍による働き方の変化もあり、在宅で仕事をする方も増えています。
そのため、食品や料理の宅配サービス、掃除などの家事代行といったサービスを利用する方も、年々増えています。
「料理代行」もその中の1つです。
宅配サービスと比較すると、まだまだ利用する方が少ないサービスではありますが、様々な世代の方から需要があります。
料理代行とは、どのようなサービスなのでしょうか。
また、サービスを受けることでどんなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、昨年から料理代行を始めた私の経験も含めながら、料理代行についてご紹介します。
料理代行サービスって、どんなもの?
私が「料理代行の仕事を始めた」と言うと、それを聞いた友人は皆、口をそろえて、「あの有名な家政婦さんがやっている仕事だね!」と言います。
冷蔵庫にあるものだけで、手際よく何品もの料理を作るイメージですね。
料理を作る場面だけが取り上げられることが多いですが、実際は、どのようなサービスをしているのでしょうか。
料理代行サービスの流れ
まずは、料理代行の全体の流れをご説明します。
①ヒアリング
事前に必ずヒアリングをします。
お客様の家族構成や好み、アレルギーの有無などを丁寧に伺います。
②お試し利用、契約
お試しのサポートを行い、サービスがどのようなものか、料理の味つけはどうかを確認していただきます。
納得いただいた上で、契約をします。
③サービス開始
ヒアリングの内容と、その時のお客様の要望なども取り入れ、数日分の料理を作ります。
作業時間は2~3時間程度が基本です。
④作る料理の決め方は2通りあります。
・使う材料は、お客様にお任せする。当日材料を見ながら、作る料理を決める方法
・事前に料理と使う材料をお客様に提案し、材料を用意しておいてもらう方法
依頼を受けてすぐに料理を作るのではなく、料理を食べる方の食生活や体調を確認し、まずはお試しで利用していただきます。
このような段階を踏むことで、お客様にとっても、料理を作る方にとっても安心、安全なサービスになりますね。
どんな人がサービスを頼んでいるの?
「代行サービスを利用する」というと、「仕事や年齢などが理由で、自分ではできないため依頼する」というイメージがあるかもしれません。
しかし、実際は下記のように様々な方が利用されています。
・夫婦共働きで、なかなか料理に時間をかけられない方
・子どもがまだ小さく、落ち着いて料理をすることが難しい方
・妊娠されていて、台所に立つことが難しい方
・自分では料理を作ることが難しい高齢の方
・料理が苦手で、日々の食事作りに悩んでいる方
・単身で、仕事も忙しく、自分では栄養バランスのよい食事作りが難しい方
・持病があり、日々の食事管理が必要な方
年齢、性別、家族構成、仕事をしているかどうかなどに関係なく、「料理を作る」という手助けが必要な方が利用しています。
また、必要かどうかの基準も決まっているものではなく、ご自身や家族が必要だと思えば、利用することができるのです。
料理代行をしてくれる人はどんな人?
料理代行を請け負う人は、どのような資格をもっているのでしょうか?
実は、料理代行の仕事をするために、必要な資格や経験はありません。
「料理が得意、好きで、料理代行の仕事をしたい!」と思えば、誰でもできる仕事です。
調理師、栄養士、飲食店に勤務していた方、昔から料理が好きな方…様々な資格、経歴を持つ方が行っています。
それぞれの経験を活かしながら、お客様に合わせた料理を作っています。
おいしいだけじゃない!体と心をととのえる栄養士の料理代行
私が所属しているファミリーバランスサポーターは、栄養士による料理代行のサービスです。
どんな方の料理代行を利用しても、お客様は料理を作ることの負担なく、おいしい料理を食べることができます。
しかし栄養士であることで、さらに2つのメリットがあります。
家族の健康づくりをサポート
「栄養のバランスも考えて作らなきゃ…」と思ってはいても、実際にはそうすることが難しい方も多いと思います。
栄養士の料理代行では、旬の食材や、普段の食事では不足しがちな栄養素も取り入れながら、料理を作ります。
栄養バランスがよい食事を提供することで、赤ちゃんから高齢の方まで、家族の健康づくりをサポートします。
食のお悩み解決で心もサポート
料理代行の仕事をしている栄養士は、病院、高齢者施設、学校、保育園などでの勤務経験がある人がほとんどです。
そのため、離乳食、子どもでも食べやすい野菜料理や、高齢の方向けに柔らかく調理するなど、お客様の悩みに合わせた料理を提供できます。
また、食に関する悩みの相談についても、正しい知識を元にお答えすることができます。
お客様が持っていた悩みを減らすことで、食事作りの負担も減らすことができます。
栄養士の料理代行を利用することで、体の健康と心の健康の両面へのサポートを受けることができます。
そして、食事作りや食の悩みに費やしていたエネルギーを、家族との時間、仕事、休養など、他のことに使うことができるため、お客様の生活をより充実したものにすることができます。
代行を利用することへの本音
これを読んでくださっているあなたの周りに、料理代行を利用している方はいますか?
社会の状況から見ると、必要としている方はたくさんいるイメージを持つかと思いますが、実際に利用している方はどれくらいいるのでしょうか。
知っているけど、利用へのハードルはまだ高い人が多い
経済産業省「平成26年度女性の活躍推進のための家事支援サービスに関する調査」によると、25~44歳の女性のアンケート対象者約41,000人のうち、家事支援サービスは
<家事支援サービスの利用状況>
現在利用している…1%、
過去利用したことがある…2%
サービスは知っているが利用したことはない…70%
サービスを知らない…27%
利用したことがある人はわずか3%、知っていても利用したことがない人が大半です。
どうして、利用する人が少ないのでしょうか。
家事は家族でするものという価値観
サービスを知っているけど、利用しないという方には下記のような理由があります。
・家事は家族でするものという価値観
・自分はサボっているという罪悪感
・家の中を他人に見られることへの抵抗感
・お金を払ってまでするものなのかという、料金への負担感
私が料理代行を始めた時、定期利用してくれている友人が、周りのママさん達に宣伝をしてくれました。
小さいお子さんがいる方は興味を示してくれました。
子どもの相手をしながら食事の支度をすることや、赤ちゃんの離乳食を作ることが大変というママさんでした。
しかし、旦那さんに相談すると、「今でもできているんだから、必要ないんじゃないか。」という考えで、利用を諦めた方もいました。
夫婦で家事、育児に対する温度差があること、ママさんが専業主婦の場合は、特に家計への負担から強く出ることができない状況もあります。
サービスを利用している人の感想
反対に、サービスを利用している方はどうでしょうか。
私が所属しているファミリーバランスサポーターに寄せられた、お客様の感想を一部ご紹介します。
・忙しい夕方の時間に余裕ができ、子どもの相手ができるようになった
・料理を手放すことで、心の余裕ができ、子どもにイライラすることがなくなった
・子どもが野菜を食べるようになった
・家族みんなが、毎回楽しみにしていた
・家事代行や料理代行を利用することが当たり前の世の中になったらいいと思う
料理は、作ることだけに時間がかかるのではなく、献立を考え、買い物、後片付けにも時間を必要とします。
特に、夕方以降の時間はやることも多く、ママさんはこなすことに必死だと思います。
そんな時に、すぐに食べられる料理があることで、時間にも心にも余裕が生まれ、家族との関わり方も変わってきます。
また、お子さんが野菜を食べるようになったりと家族にもうれしい変化が出ています。
まとめ
日本は、「家事は家族でやること」という考えがまだまだ残っています。
しかし、1日に3回もある食事作りを少しでも手放すことで、時間や心にゆとりが生まれ、笑顔も増えます。
その結果、家族で過ごす時間がよりよいものになります。
作る料理は数日分ですが、家族の楽しみになる、お客様自身のレパートリーにもなるなど、毎日の食生活を豊かにすることにもつながります。
「もうひとりの家族」に頼むという気持ちで、一度、料理代行サービスを利用してみてはいかがでしょうか。