暦の上では春が近づいていますが、まだまだ寒い日々が続きますね。
体が冷たいと、通称「冷え性」という状態になりついつい猫背になったり、手足がむくんだりして落ち込んでしまいがちです。
「冷え性」とは遺伝や、疾病の病態、生活習慣などにより体が冷えた状態のことをいいます。
しかし、生活の工夫や食べ物によって、体を温め「冷え性」を改善することができます。
今回は、どうしたら体を温めることができるのか、また体を温める食材や体を温める秘密について紹介します。
冷え性を改善し、寒い季節も笑顔で過ごしたいですね。
では早速、体の仕組みについてみていきましょう。
知ってる?これが体の温まる仕組み
体を温める仕組みには、「熱」が関係しています。
この熱には、主に3つの流れがあります。
それぞれ、どのように体を温めていくのでしょうか。
熱の発生で、体の温めをスタート
体の熱をつくるスタートには、熱源が必要です。
熱の発生源は、主に2つあります。
○筋肉
1日の熱量の約60%は、筋肉で作られます。筋肉は、力を発揮するときに収縮するため、その動きにエネルギーを必要とします。
エネルギーを使うことで熱が発生するため、体を温めることに繋がります。
○食べ物
食事をとると、体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費されます。
人間が生きるために必要な熱です。
2つの熱源をうまく使うことで、体を温めることができるのですね。
作られた熱を運んで、体を温める
熱は、血液によって運ばれます。
血管は全身にめぐらされています。
血管の中を血液が熱と共に流れていくため、その熱が身体を温めてくれるというわけです。
しかし、手先や足先は血管が細いため、血流が滞りやすくなります。
そのため、手先や足先はマッサージやお湯で温めると、滞った血流を促進することができます。
また、ツボを刺激することでも血流をよくすることができるので、熱を効率よく循環させるために効果的です。
熱の運搬には、血液の主な成分である水分も重要です。
血液の約90%は水分と言われています。
意識的に水分をとるようにして、血液と共に熱を流しやすい環境を整えましょう。
熱を調整して、体温をキープ
体内に運ばれた熱は、血管の収縮調整により維持されます。
たとえば、外の気温が低い時は、血管を収縮させることで放熱を防ぐことができます。
血流が良ければ熱を運び、血管を調整することができるので、体を温かく保つことができます。
ストレスなどで自律神経や女性ホルモンの調整機能が乱れると、血液の流れが滞り、血管の調整も不十分になります。
そのため、心の健康を保ちストレスを減らすことも、冷え性の改善には大切なのです。
このように、冷え性を遠ざけるには、全身に運んだ熱を保つための血管の調整がカギとなります。
では、この体の働きを生かすには、どのような食材が適しているのでしょうか。
冷え性よ、さようなら!おすすめ食材4選
冷え性を改善するには、体を温める熱源を活かすこと、また、発生した熱を全身に運ぶ血流を良好に保つことが大切だとわかりました。
ここでは、体を温めるために役立つ食べ物についてみていきましょう。
冷え性の救世主「しょうが」
しょうがは、体を温める食材の代名詞ともいえます。
ピリッとした辛みと、独特な風味が食欲をそそるしょうがには、次のような効能があります。
しょうがの効能の秘密は、「ジンゲロール」と「ショウガオール」という成分です。
それぞれ、どのような力があるのでしょうか。
○ジンゲロール
ジンゲロールは、抗菌・殺菌作用やがん予防、食欲増進作用などの効果がある。
これらは、加熱生姜に含まれるショウガオールよりも高い。
ジンゲロールは、生の生姜に多く含まれています。
免疫力を高めたい時や風邪を予防・改善したい時には、生の生姜が効果的です。
酸化が早いので、食べる直前に切ったりすりおろしたりして、なるべく早く使い切るようにしましょう。
特に生姜の皮の下には、ジンゲロールが多く含まれるので、皮ごと使用すると効率的ですよ。
○ショウガオール
ショウガオールは、胃腸の粘膜を刺激して血流を高め、身体の深部の熱を作り出す働きがある。
生姜を加熱・乾燥させると、ショウガオールに変化する。
ショウガオールの食べ方のポイントは、加熱処理することです。
さらに蒸した生姜には、生の生姜の10倍以上ものショウガオールが含まれます。
冷え症の改善にはショウガオールを豊富に含む加熱・乾燥した生姜を摂るとよいです。
しょうがを料理に取り入れて、体の中から温まりたいですね。
風邪に負けない「ねぎ」
昔から、「風邪をひいたらねぎを首に巻け」というように、寒い季節に身体に役立つ野菜がねぎです。
ねぎには、次のような効能があります。
ねぎの効能の秘密は、「アリシン」という成分です。
アリシンは、別名「硫化アリル」と呼ばれている香り成分です。
これは、ネギの白い部分に多く含まれています。
○アリシン
アリシンは、強い殺菌力や抗酸化作用を持つ。
動脈硬化の進行を抑制し、血管を広げ、丈夫にする。
できてしまった血栓を溶かすため、血栓の予防や改善に役立つ。
交感神経を刺激して体温を上げる働きがある。
風邪の予防にも効果が期待できるアリシンは、ビタミンB1との相性も良く、疲労回復や体力アップにも効果を発揮します。
アリシンは、ニンニクやたまねぎにも含まれる成分なので、これらの食材を合わせた料理を食べれば、更に体を温めることができますね。
少量でも効能バッチリの「ごま」
料理やお菓子のアクセントにぴったりなごまは、冷え性に役立つ効能があります。
これらの効能の秘密は、「セサミン」という成分です。
セサミンは、「ゴマリグナン」という抗酸化物質に含まれる成分の1つです。
セサミンが体内に入ると、血液の流れを良くし血行を促進します。
すると、体が温まりやすくなり、冷え性を遠ざけることができるというわけです。
また、ごまはビタミンも豊富です。
「若返りビタミン」とも称されるビタミンEは、末梢血管を拡張して血液の循環をスムーズにしてくれる働きがあります。
そしてセサミンと一緒に摂取することでビタミンEは分解が抑えられ、効率的に体に取り込むことができます。
なんと、血中での量が2倍になるという研究結果もあるほどです。
料理のアクセントにごまを取り入れて、血行促進に役立てたいですね。
発酵食品の調味料「しょうゆ」
大豆や大豆製品は、体を冷やす食べ物として知られていますが、大豆の加工品であるしょうゆは、発酵食品として体を温めるために役立ちます。
発酵食品は、消化のいい酵素やたんぱく質が代謝を高めるため、冷え性を遠ざけることができます。
これらの効能の秘密は、「麹菌」と「必須アミノ酸」です。
発酵食品に含まれる乳酸菌などの微生物は、腸内環境を整える働きを持っており、腸の動きを活発にしてエネルギー代謝を高めます。
味噌や醤油などに使われる麹菌は、カルシウムやカリウム、ビタミンB群など、代謝を上げるのに効果的な成分を含んでいます。
代謝が高い人は、体温が高いことが多いのはこのためです。
つまり、代謝をアップする事で体を温めることができるというわけです。
発酵食品に含まれる必須アミノ酸には、血行を促進する役目があります。
腸内環境を整えることで、体内循環が良くなり、血行も促進されます。
すると、体温の上昇に繋がるというわけです。
では最後に、これらの食材を使ったレシピをみていきましょう。
湯豆腐で、体ホカホカ♪
体を温める食材を一度に食べられる料理としては、湯豆腐がおすすめです。
寒い季節にぴったりの湯豆腐で、温まりましょう。
これまで見てきた食材が薬味として使われるので、冷え性改善にぴったりです。
そして、好きな薬味を用意するだけで、楽しく食べることができます。
では、作り方をみていきましょう。
体がにこにこ♪あったか湯豆腐の作り方
湯豆腐とは、昆布を敷いた鍋に角切りした豆腐と水を入れて火にかけ温めたものを、つけじょうゆと薬味で食す料理のことです。
良質なたんぱく質を手軽にとれることから人気が広まった「湯豆腐」は、昔から日本人に好まれていました。
京都には、湯豆腐の専門店がたくさんあるほど親しまれています。
コロナ渦ではなかなか遠出が難しいこともありますが、自宅でも湯豆腐を楽しむことができます。
木綿豆腐でも、絹豆腐でも美味しく食べられます。
豆腐の種類を変えるだけで、違った美味しさを味わうこともできますよ。
美味しさUPで心がわくわく♪土佐醤油
湯豆腐に欠かせないものの1つに、「つけだれ」があります。
しょうゆやポン酢はそのままかけるだけで便利ですが、「土佐醤油(とさじょうゆ)」があると、ワンランク上の湯豆腐を楽しむことができます。
意外と簡単に作ることができる土佐醤油で、湯豆腐をもっと美味しくさせましょう。
土佐醤油は、うま味がたっぷりで香りも良く、ごはんが進みます。
湯豆腐の他に、お刺身や卵かけご飯にもおすすめですよ。
まとめ
冷え性を遠ざけるには、体を温めることポイントです。
体温は、熱を発生させ、血液と共に体内に運ばれ、血管を調整することで維持できます。
この一連の流れをサポートしてあげることで、体の熱を保つことができます。
冷え性改善に役立つ食材には、しょうが・ねぎ・ごま・しょうゆなどがあります。
いずれも体に働きかけ、血の巡りをよくしてくれます。
湯豆腐は料理自体が温かく、冷え性改善効果がある食材を薬味に使うことができるので、おすすめの料理です。
寒い季節が元気に過ごせるよう、生活や食べ物を意識して過ごしましょう。