離乳食が終わると、食事をどのようにステップアップすれば良いのか悩んだことはありませんか?
こどもが初めて食べ物を口にする、離乳食は大切にされる方が多いですが、幼児食は分からないことが多いのではないでしょうか。
離乳食は、段階を踏んで色々なレシピがあったり教えてくれるところは多いものの、1歳を過ぎてくると、いきなり大人と同じご飯にステップアップしてしまう子が多い気がします。
毎日頑張っているお母さんたちにとっては、離乳食が終わると同じご飯を食べることができる嬉しさや、この先はどうすれば…と不安に思う気持ちなど色々あるでしょう。
そもそも、“幼児食”って何?
味を薄くしたら良いの?
それって必要なの?
と言った疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
やっと離乳食が終わったと思ったら、まだ…?
と思う方もいるとは思いますが、なぜ幼児食が必要なのかについて、お話していきたいと思います。
なぜ幼児食が必要??
1歳を過ぎても、まだまだ身体は未熟です。
離乳食が終わっても、まだその時期に合わせた食事が必要な理由を、ここでお伝えしていきたいと思います。
幼児食の説明も交えて、説明していきますね。
幼児食とは?
1歳から6歳未満の栄養や食生活も含めて、幼児食と言います。
幼児食は、離乳食から大人と同じごはんを食べるようになるための大切なステップ、と言われています。
味覚を育てるため
最近、適切な味覚が育っていない「味覚おんち」な子どもが多いです。
その原因は、離乳食や幼児期にあるとが多いと言われています。
やはり、適切な味覚を育てるためには離乳食だけでなく幼児食も必要になってくるのです。
「味覚おんち」とは、正常に味覚が発達していない状態のことを言います。
味を感じるのは、舌にある“味蕾(みらい)”という細胞で感じ取ります。
味おんちは、この味蕾(みらい)が発達途上、または作られていない状態にあります。
そのせいで、複雑な味が分からず、刺激が強いものや味が濃いものを好む傾向があります。
味覚は3ヶ月から発達し、3歳までにほぼ決まります。
それから時間をかけて、8~9歳ごろには確定すると言われています。
“味覚おんちになる”ということは、将来生活習慣病にもなりやすいですし、味を濃くするために調味料をたくさんかけたくなったり…と、良いことはないですよね。
もちろん、思春期になったり、成長するにつれて友達との付き合いも多くなります。
活動量も増えますので、ファーストフード等のジャンクフードと呼ばれるようなものを好む時期も来るでしょう。
でも、幼少期にしっかりとした食生活が出来ていると、ちゃんと最後は食材の味が分かる、バランスの取れた食生活に戻ってくることができます。
大人と同じご飯を食べるためのステップ
離乳食が終わってすぐに大人と同じご飯に移行してしまっては、必要な機能が獲得されないまま、早食べや丸のみの原因にもなってしまいます。
幼児期の口の機能はまだまだ未熟で、咀嚼も上手にできない状態なので、その段階に合った食事が必要です。
また、幼児の味覚は大人よりもずっと敏感で、いろいろな影響も受けやすいです。
苦味や渋みがあるものを嫌がるのもそのためです。
添加物がたくさん入った市販品や味の濃いものなども、大人よりずっとその影響を受けやすく、はまりやすいので注意が必要です。
大人と同じご飯を食べるようになるまで、少しづつステップアップしていきたいですね!
食経験を豊かにし、食べることが好きになる!
幼児食の基本は、「楽しく・おいしく・いっしょに」食べることです。
食を通して子どもは、体だけではなく心も育っていきます。
子どもが健やかに育っていくためには、大人との関わりが必要不可欠です。
何を食べるか、も大事ですが‟だれと”‟どのように”食べるかもとても大切です。
幼児期には、脳の神経系の8割が発達します。
☆ 食を通して育つ五感
・大好きなご飯、色とりどりの食べ物を目で見る → 視覚
・美味しそうな匂いを嗅いで、何のご飯か考える → 嗅覚
・色々な味を経験する → 味覚
・料理を作っている音や、話し声、笑い声を聞く → 聴覚
・食べづかみやスプーン等を使って、感覚を楽しむ → 触覚・感覚
幼児期は色々な刺激を受けて、全力で成長中です。
一人で食事をしていたり、怒られながら食事をしていては、のびのびと五感を使って食べることが出来ません。
寂しさから心が閉鎖的になったり、コミュニケーションが苦手になったりしてしまいます。
色々と書きましたが、難しく考える必要はありません。
出来る範囲で、お母さんの無理のないようにご飯を作って食べればよいのです。
朝はどうしても、一緒に食べるのは難しくて…というご家庭も多いかと思います。
大事なのは、こどもに寄り添うことなので、朝が難しければ、夜ご飯は出来るだけ一緒に…等工夫すればよいと思います。
お母さんが笑顔でないと、こどもは楽しめません。
無理のないように、ご家庭に合うスタイルでしてくださいね。
年齢別の幼児食のポイント
“幼児食”とひとくくりに言っても細かい段階があります。
3つの段階に分かれていますので、一つづつお伝えしていきます。
年齢別に書いていますが個人差があります。
歯の生え方等を参考にしてくださいね。
幼児食移行期(1歳~1歳半)
上下8本の歯が生えそろい、奥歯も1本ほど生えてきます。
前歯でかじり取って食べられるようになり、奥の歯茎で押しつぶせるようになります。
手づかみ食べも始まる頃ですね!
まだ、上手には出来ませんが、食べる意欲を育てます。
自分で食べ物をかじり取ることで、一口量を認識していきます。
そうはいってもこの時期は、とっても大変ですよね。
毎食、ぐちゃぐちゃに食べ荒らして、「どれだけ食べた?落ちてるほうが多くない??」なんて思うことも、この時期にはありますよね。
食事をしないで遊び食べに夢中になってしまうようなら、食事は30分等と決めて片づけてしまうのがおすすめです。
なるべく片付けが楽なように、床に新聞紙やシートをひいたり、ランチョンマットを準備したりと、使えるものは全て使うくらいの気持ちで工夫しましょう。
幼児食前半(1歳半~3歳)
二つ目の奥歯が生え始めます。
上下の奥歯が生えそろうことで、奥歯で噛むことができるようになります。
歯の発達には個人差があります。
上下の歯が生えそろわないうちは、奥歯で噛むことは出来ません。
まだ噛むことは上手ではないので、固いものは噛みやすいように柔らかく切ってあげましょう。
この頃には、フォークやスプーンが使えるようになってきます。
まだまだ、大人の助けは必要ですが、なるべく自分で食べられるようにやらせてあげると良いですね!
自我が強くなり、“イヤイヤ期”と呼ばれるのもこの頃です。
この時期は味覚がいったん狭まってしまうので、好き嫌いも激しくなり、食べられるものが少なくなってしまうこともあります。
この時期に‟欲しがるから”‟大人しくしてもらうために”と言って、ついついおやつをあげすぎてしまいますが、これは要注意です。
逆にこのイヤイヤ期を助長してしまう可能性が大きいので、気を付けましょう。
幼児期後半(3歳~6歳)
乳歯もほぼ生えそろい、大人と同じようなご飯ができるようになってきます。
もう同じでよいかな?と思いがちなのですが、実はまだ嚙む力は大人の1/2しかありません。
大人と同じでは食べにくいものもありますので、様子を見ながら必要に応じて切ってあげましょう。
指先が器用になってきて、スプーンやフォークも上手に使えるようになってきます。
この頃になると、お箸も練習していく頃ですね!
好き嫌いも、この頃になるとだんだん落ち着いてきます。
言葉の理解も出来るようになってくるので、少しづつ食事のマナーについても伝えていくと良い頃です。
このように、幼児食にも離乳食の時のように段階があります。
段階によって、子どもの歯の生え方も違うし気を付けることも違います。
このようなステップを踏んで、だんだん大人と同じご飯を食べることができるようになってくるのです。
少しずつ段階を踏んで‟噛む”ことを覚えていくのですね!
取り分け幼児食を作ろう
実際に幼児食を作るには、どんなことに注意して作れば良いのでしょうか?
答えは、「まず大人の食事を整えること」です。
基本の食事ができていれば、少しそれをアレンジするだけで幼児食を作ることができます。
ここでは、そのポイントをお伝えしていきます。
出汁(だし)で食材のうま味をひきだそう!
和食の基本調味料の「さ・し・す・せ・そ」は、ご存じでしょうか?
出汁+調味料で調味することで、調味料の量も少なく食材のうま味を引き出すことができます。
まず、基本調味料から見ていきましょう。
<和食の基本調味料「さ・し・す・せ・そ」>
・「さ」 → 砂糖
・「し」 → 塩
・「す」 → 酢
・「せ」 → しょうゆ
・「そ」 → 味噌
出汁は顆粒の出汁ではなく、かつおや昆布・煮干しからとったものが良いです。
忙しいママは、だしパック等も使って手軽に作るところから始めてみましょう。
おすすめは、煮干し出汁で作ったお味噌汁です。
煮干し出汁は、ミネラルもたっぷり摂れますよ♪
煮干しは、煮干し100%の粉末のだしも売っているのでそれを使うのも良いですね。
煮干しは劣化しやすいので、使う際は冷蔵庫で保管してくださいね。
洋食メニューは塩で美味しくなる
幼児食の洋食メニューは、塩のみが基本です。
食材のうま味や香り、組み合わせを上手に生かすことで、塩だけの味付けでも満足の仕上がりになります。
食材のうま味をすりこむことができ、好き嫌いを減らすことにもつながります。
洋食を作るときは、コンソメを使う方が多いと思います。
コンソメは、ブイヨンに調味料を加えて味を付けたものです。
ブイヨンとは、魚・肉・野菜等(主に玉ねぎ、にんじん、セロリ等)を煮込んでうま味を出したもの。
つまり、洋風のお出汁のことです。
これをうまく使い、玉ねぎやにんじんを使用した煮込み料理はうま味が多く出るので、調味料を極力減らすことができます。
ポイントは、しっかり炒めてから煮込むことです。
塩だけだと物足りないと感じるかもしれませんが、コンソメの素を使うとしても最小限に抑えられますよ!
また、塩の選び方にもこだわるとよりおいしくなります。
塩は、出来るだけ自然塩を使ってみてください。
サラサラのふりかけやすい塩は、使いやすいように加工されています。
塩はもともと、たくさんミネラル分を含んでいます。
ミネラルを含む塩は、少し湿ったような、しっとりしているのが特徴です。
ミネラルは、身体にとって、とても大切な栄養素です。
塩で補えるように、出来るだけ自然に近い製法で作られたものを選んでみましょう。
幼児食の取り分け法
幼児食の取り分けをする際は、味の濃さを調節することがポイントです。
ご家庭によって、大人の味つけも違いますが、一つの目安にしていただければと思います。
味付けの濃さは、
幼児食前期 ・・・ 大人の1/3
幼児食後期 ・・・ 大人の1/2
が目安です。
具体的にいうと、みそ汁では、だし汁800㎖に対してみそ40gくらいです。(3歳の場合)
調理方法としては
☆煮物・炒め物
① 子供の味付けで作ってから取り分けて、最後に大人の味付けを加える
② 大人の分を作ってから子どもの分を取り分け、水を加えて蒸し煮をする
☆汁物など
大人の味付けで作り、子どもの分は薄める
などの方法があります。
最後に、水分を足せばよいだけなら作りやすいですよね!
まとめ
離乳食と同じように、幼児食もとっても大切であること、分かっていただけたでしょうか?
ですが、忙しいお母さんにとってはなかなか大変なこともあるかもしれません。
私自身、1歳半からこどもを保育園に預けて働いていましたが、食事作りは本当に大変でした。
幼児食の前期はイヤイヤ期と重なり、食べ終わるまで椅子に座っているのさえ難しい状態です。
毎日そんな状態が続くと、母も心が折れてしまいますよね。
基本は抑えたうえで、ご家庭に合ったやり方で母が笑顔で過ごすことができる方法を選択していければよいと思います。
大事なのは、「家族みんな笑顔で過ごせること」です。
上手に幼児食が家族に溶け込むことができるように、していきたいですね!