子どもが2歳になるとおしゃべりが増え、歩き回るようになり、かわいさが増してきます。
一方で、何でも自分でやりたい気持ちから、親の手伝いをイヤイヤするようになります。
しかし、イヤイヤするのは手伝いだけではありません。
食べ物のイヤイヤも、2歳ごろが多いです。
子育てをしていると、「離乳食ではよく食べていた野菜を、急に食べなくなってしまった」という話をよく聞きます。
どうして、今まで食べていたごはんを食べなくなってしまうのでしょうか。
また、どうやって偏食を乗り切ったらよいのでしょうか。
この記事では、2歳ごろに野菜の偏食が多い理由と、それを乗り切る方法を紹介します。
まずは、2歳ごろの偏食の原因を探っていきましょう。
2歳の偏食は、味と形で改善!
子どもの偏食のカギになるのは、「味・形・量」の3つがあげられます。
特に、野菜を嫌がる原因が「味」と「形」です。
「味」や「形」を嫌がる理由は、どちらも2歳ごろの心や歯の発達によるものです。
このころの子どもは馴染みのあるものと、新しいものの区別がつくようになります。
今まで食べてきた離乳食のような味や食感の食べ物は、安心して食べられます。
しかし、馴染みのない味・食感の食べ物は、怖いために口に入れたがりません。
未知の食べ物を怖れ、拒むことは、危険から身を守るための反応なのです。
心の発達以外に体の変化により、食べにくさを感じることがあります。
子どもが2歳を過ぎると、奥歯が生え始めます。
すると、食べ物を自力ですりつぶす力がついていきます。
しかし、まだ力と経験が不足しているので硬いものを嫌がることが多いです。
では、どのように工夫したら偏食を少なくすることができるのでしょうか。
2歳ごろの味の好みは、何で決まる?
偏食と味には密接な関係があります。
子どもが好む味かどうかは、本能として生きるために必要か否かで決まります。
では、どの味が必要で、どの味は不必要と判断されるのかみていきましょう。
味には、5つの基本となる味があります。
甘み:“エネルギーをもっている”サイン
うまみ:“タンパク質をもっている”サイン
塩味:“塩分をもっている”サイン
酸味:“腐敗”のサイン
苦み:“毒”のサイン
5つの味のうち「甘み」「うまみ」「塩味」は、生まれながらにして好みます。
この3つの味は命に必要なエネルギーが確保できる味と認識されているため、おいしく感じられます。
反対に、「酸味」は“腐敗”のサインです。腐っているかもしれないと思うので、恐怖を感じます。
また、「苦み」は“毒”のサインです。命の危険を感じるため、警戒します。
野菜はこの「苦み」が多いため、子どもが本能的に嫌がるような味になっているのです。
野菜の偏食には、脂肪分と甘味がカギ!
苦みのある野菜を食べてもらうための改善策は2つあります。
野菜を食べやすくするには、脂肪分を加えるか、甘味を加えるとよいです。
例えばほうれん草にベーコンを加えてスープを作ると、うまみと脂肪分が野菜の苦味を感じにくくしてくれます。
また、ほうれん草にバナナやプルーンなどの甘味を加えて蒸しパンやパンケーキを作ると、甘味が苦味を感じにくくしてくれます。
野菜には、脂肪分または、甘味のある食材を加えると食べやすくなります。
食感や形を離乳食に近づけて、食べやすさアップ
野菜の偏食は、食感と形の工夫で改善します。
離乳食のように、柔らかい食感で、小さい形だと食べやすくなります。
離乳食のころは、歯茎ですりつぶせるやわらかさや、指でつぶせるやわらかさにします。
また、形はスプーンに乗る大きさです。
このような工夫をすると、繊維が多い野菜を食べやすくなります。
まだ奥歯が生えはじめで、使う能力も力も未熟な2歳の子どもでも自分の力で噛み、飲み込みやすくなります。
丸ごと飲み込む癖を防ぐことができ、噛む習慣がつくメリットもあります。
2歳ごろの子どもであれば、野菜はやわらかくするか、小さく切って食べやすく工夫しましょう。
◎トマト:湯向きして、皮をむきます。半分か1/4に切ります。
◎オクラ:種を取り除きます。
◎ブロッコリー、キノコ類:ばらばらにならないよう、とろみでまとめます。
◎ゴボウ:圧力鍋などで、2歳ごろでも噛める柔らかさにします。
ポイントは、「噛みやすさ」と「飲み込みやすさ」です。
球状の野菜や大きすぎる野菜は、小さく切ってあげましょう。
噛みにくいと丸呑みしてしまう危険があります。
根菜類の場合は、親指と薬指でつぶれるくらいの固さを目安にしましょう。
自分の歯や歯茎で噛む感覚を楽しんでくれます。
達成感で2歳の意欲をくすぐろう!
2歳ごろの子どもは、自分でやりたい気持ちが強いです。
そして、自分だけでできたとき、達成感からとても喜びます。
この意欲をくすぐって、偏食改善に活用しましょう。
食べてもらいたい料理から出して、偏食を改善
子どもが野菜を食べる工夫のひとつに、食べさせたい料理から順番に出す方法があります。
食べさせたいものすべてを一度に食卓に出してしまうと、好きなものから食べてしまいます。
お腹がいっぱいになってしまうと、苦手な野菜を食べようとしません。
食べ始めのうちに、野菜を少量出しておきましょう。
こどもが満腹のときより、野菜を口にしやすくなります。
楽しい食事タイムはどうやって作る?
子どもは楽しいことが好きです。
食事の時間も楽しいと感じられれば、食べる意欲を促すことができます。
WHOの補完食ガイドラインには、次のような記載があります。
● 食事時間は子どもと一緒に座り、その子どもが何を食べているかを見て、必要なときは、積極的に援助し食べるように促しましょう。
● 子どもをせかしてはいけません。子どもは少し食べ、少し遊び、そしてまた少し食べるかもしれません 。子どもを食べるように促すには、忍耐と楽しいユーモアセンスが必要です!
● 子どもが食べるのを中断したら、少し待ってから、また勧めてみましょう。
このように、2歳にはまだ援助が必要なことと、少しずつ食べ進めることが分かります。
焦らず見守って、少しずつの変化を見守っていきましょう。
そして、食べる楽しさを味わうことが大切です。
子どもが「食べられた」と感じることが達成感になります。そして、食べる意欲に繋がります。
嬉しい経験は、また次も食べようと思うエネルギーになります。
長男が「ぴゅーん、ぱくっ!」と言って、次男の口に野菜を入れてくれました。
楽しさから、普段は食べないほうれん草を少しだけ口にしてくれたことがあります。
そのあと、次男は嬉しそうな顔をしていました。
食べさせるサポートと、楽しさを意識した食事の時間を過ご方で、偏食に変化がでてきます。
諦めないで!工夫しても野菜を食べないときの改善策
子どもは発達とともに、理解力を向上させます。
今はわからなくて怖いことも、数か月後には経験から乗り越えられることがあります。
つまり、今は苦手な野菜もいつかは食べられるようになることもある、ということです。
偏食は、長い目で見ていきましょう。
料理の工夫ではうまくいかなかったときでも、偏食の改善に効果がある方法を紹介します。
食べなくても食卓にあげる意外な効果とは?
子どもが嫌がるのに、何度も料理を出すと心が折れてしまいます。
しかし、食べなくても食卓に出しておくことで意外な効果が得られます。
それは、出し続けることで子ども馴染みのある料理に変わっていくことです。
何度も見ていくことで、興味を持つこともあります。
次男も野菜の偏食だったのですが、何度もかぼちゃとにんじんを出すうちに兄の真似をして食べるようになりました!
実は、子どもによってはじめて見るものを嫌がる傾向の子がいます。
これを食物新奇性恐怖と呼びます。
苦手な食材でも食卓に出し続けることで、食物新奇性恐怖を感じにくくする効果があります。
次第に食べようとするきっかけにもなるので、食べなくても食卓にだしていきましょう。
楽しい経験を増やして、偏食意識を軽減
皆でごはんを食べると楽しいと感じる経験はありませんか。
子どもも、大好きな家族や友達と一緒に食べると、楽しくなります。
大好きな人と楽しく食べると、何でも口にしようとすることがあります。
子どもが保育園や幼稚園ではよく食べるのに、家ではあまり食べないという悩みも、楽しさが関係しています。
偏食の理由の一つに、食物嫌悪学習というものがあります。
これは、「きんぴらごぼうを食べたら吐いてしまった。」のように嫌な記憶と食べ物が繋がって、偏食になってしまうということです。
しかし、逆の発想をすると楽しい経験が好きな食べ物を増やすきっかけになるのです。
このような経験を積んでいくと、偏食の子どもの「野菜=嫌だ」という気持ちが薄れていきます。
苦手な野菜を食べなくてもいいので、野菜と楽しい経験を結び付けていきましょう。
お腹がすいたらなんでも食べる!?
人間はお腹がすいていると食べたい意欲が増します。
生きるためにエネルギーを求めるからです。
また、空腹なときのほうが食べ物を美味しく感じられます。
求めているエネルギーが得られることで、脳が喜ぶからです。
このことから、2歳の偏食には空腹が効果的です。
子どもが空腹を感じるには、食べる→消費(動く・寝る)→食べる、といったサイクルを回すと効果があります。
夜ご飯を食べた後、時間をおいてから眠ると、熟睡できます。
その間に寝ている間に胃腸が働き、消化が進みます。
朝起きて、しばらくするとほどよい空腹感を感じます。
または、排便をして空腹感を得ることができます。
食欲がわくと、おいしく朝ごはんを食べられます。
朝ごはんをしっかり食べることでエネルギーを得て、たくさん体を動かすことができます。
たくさん体を動かすとおなかが空きます。
お腹を空かせると、しっかりご飯を食べることができ、次の便を作ることができます。
また、おやつの回数を決めることで、満腹の状態を少なくすることができます。
なるべくおやつの時間を決めると、お腹を休ませる時間ができるので、空腹を感じることができます。
まずはできそうなところから始め、、空腹を感じやすいサイクルを回しましょう。
2歳で偏食でも大丈夫!
2歳のうちから偏食がでてしまうと、将来を心配してしまいますよね。
でも、偏食が永遠に続くわけではないので大丈夫です。
なぜ大丈夫かといえるのか、心配事を解消していきましょう。
野菜の偏食が、便秘の原因になるとは限らない
野菜の偏食があると、便秘や腹痛になってしまうのではないかと不安になります。
便秘になるのが不安だから無理にでも食べさせようと思っているのであれば、心配しないでください。
確かに、野菜が少ないことで食物繊維が不足することは考えられますが、それだけでは便秘になりません。
楽しく食べることに重点を置いて、その次に野菜が食べられる工夫を試していきましょう。
便秘の定義が、慢性便秘症診療ガイドライン2017に示されています。
便秘とは、本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態
便秘は、排せつ物がお腹の中に滞っている状態をいいます。
大人は食物繊維が足りないと便秘になりますが、子どもの便秘の原因はそれだけではありません。
子どもの便秘の原因の一つとして、炭水化物の摂取量が多いと便の量が増えることがあります。
便を作る材料がありすぎて、お腹に便を作りすぎてしまうからです。
また、水分不足により便秘を引き起こすことがあります。
子どもは大人よりも体内の水分量が多いので、夏場に汗をたくさんかくと、うんちが固くなりやすいです。
子どもによっては、うんちを出す感覚が不快で排便を避け、うんちが溜まっていってしまうことも!
このように、子どもの便秘の原因は野菜不足だけではありません。
便秘の心配はひとまず置いておいて、偏食があっても楽しく食べられる環境づくりに力を注ぎましょう。
偏食は、2歳ごろの発達によるもの。ママのせいではありません
子どもが偏食になると、親の調理方法やがんばりの問題であると周囲から指摘されることが少なくありません。
しかし、子どもの偏食はママのせいではありません。
偏食の理由は、心と歯の発達にかかわる子どもの側の都合です。
2歳ごろの子どもは、奥歯が生え始めなので、噛む練習中です。
食べられるものを増やす練習中でもあるのです。
極端な感覚過敏がなければ、年齢が上がるにつれ、徐々に食べられるものは増えます。
今はできることをやりながら、子どもの成長を見守ってあげましょう。
子どもが野菜の偏食でも心が軽くなる、おすすめ絵本
2歳の偏食に疲れてしまった時におすすめの絵本です。
次男が偏食で悩んでいるときに、助けてくれました。
「今は偏食でもいいから、楽しもう!」と気持ちが楽になった1冊です。
引用:Ehon Navi
絵本「ポケットはん」は、主人公・めいちゃんのかわりに「ポケットはん」が苦手な食べ物を食べてくれるお話です。
関西出身の令丈ヒロ子さんが作者の絵本です。
作品中では、食事の楽しいやりとりが繰り広げられます。
会話のたびに、「あるある!」と思ってしまいました。
偏食があっても、ママと子どもが笑顔で過ごせたら嬉しいです。
まとめ
子どもの野菜の偏食には、ちゃんとした理由があります。
2歳ごろの発達に合わせた味や形に整えれば、偏食を少なくすることができます。
野菜の偏食は、子どもが好む味と組み合わせ、食感や形を工夫することで食べてくれることがあります。
偏食が続いても心配はいりません。
偏食は、2歳ごろの発達の証です。
偏食が見られても食材は出し続ける効果はあります。
まずは、食事の楽しみや食べきる達成感を優先して伝えていきましょう。
成長とともに変わることを期待して、今はできることを試していきましょう。
偏食とうまく付き合って、子どもが食べる楽しさを沢山感じられるようになるといいですね。