【管理栄養士が解説】食物アレルギーと「離乳食の進め方」のポイント

「食物アレルギー」は、年々増加傾向と言われています。

小児(15歳以下)、特に乳児(1歳以下)に多く、おおよそ赤ちゃんの10人に1人が発症しています。

そのため、子どもの食事、特に初めての食べ物を与えることが多い「離乳食」を進めていくうえで心配されている方が多いようです。

食物アレルギーは、正しい知識を持ち対応すれば、むやみに恐れる必要はありません。

離乳食を進めていくうえで、食物アレルギーについてどんなことに気を付けていけばいいのか、しっかり確認しましょう。

 

食物アレルギーってどんなもの?

アレルギーとは、免疫反応が特定の抗原に対して過剰に起こることを言います。

食物アレルギーをはじめ、アトピー性皮膚炎・金属アレルギーなどの様々な疾患があり、原因となる物質も様々です。

アレルギー疾患は大人よりも子どもに多く、ほとんどが小児期に発症すると言われています。

まだまだ解明途中の疾病ではありますが、アレルギーが発症する仕組みや対応がしっかりわかれば、むやみに恐れる必要はありません。

まずは、食物アレルギーについてしっかり理解しましょう。

 

食物アレルギーは「免疫」の過剰な反応

食物アレルギーとは、特定の食べ物に含まれる「アレルゲン」と呼ばれるアレルギーの原因物質に自分の免疫機能が過剰に反応してしまうことで起こります。

アレルゲンはほとんどが食品に含まれる「たんぱく質」が原因となっています。

免疫は本来、自分の身体の害になるものを排除し、「体を守る」働きをしてくれるものです。

しかし、免疫ががアレルゲンとなる食べ物に間違えて反応してしまうことで、体に様々な症状が出てしまうのが「食物アレルギー」です。

 

食物アレルギーの症状と重症度

食物アレルギーは、原因の食物を食べた直後~2時間以内(多くは食べた直後から30分以内)に症状が出ることが多く、症状は多岐にわたります。

 

皮膚のかゆみや蕁麻疹などの症状がでることが多いですが、そのほか目や口の腫れ、腹痛などの消化器の症状など、全身の様々な部位に症状が現れます。

また、その症状は個人差があるのが特徴です。

多くは1つだけの症状や軽症でおさまりますが、複数の症状が同時に出る場合を「アナフィラキシー」といいます。

さらに、血圧の低下や意識障害を伴ってぐったりしている場合を「アナフィラキシーショック」と呼びます。

アナフィラキシーやアナフィラキシーショックが疑われる場合には、至急救急車を呼び、緊急性がある対応が必要になります。

このような重篤な症状でなくても、食物アレルギーが疑われる症状が出た場合、全身の状態をよく確認し、症状が複数出ないか、進行しないか確認をし、病院を受診しましょう。

声が出づらい、かすれるなどの呼吸器の症状がある場合、のどの腫れから呼吸困難に陥る可能性があるため、できるだけ早く病院を受診することをお勧めします。

 

 

離乳期に発症しやすい食物アレルギーの種類とは

食物アレルギーにはいくつかの種類があり、発症する過程や原因に違いがあります。

その中でも離乳食を進めていくうえで発症することが多いのが、「即時型食物アレルギー」です。

このアレルギーは、乳児期から成人期にかけて幅広い世代に現れ、食物アレルギーの中でも典型的なタイプです。

原因になる食物を食べてから、短い時間で蕁麻疹やアナフィラキシーが現れるのが特徴です。

 

離乳期のアレルギー原因食材と年齢別の発症傾向

食物アレルギーの原因となる食物は多岐にわたり、人により様々です。

しかし、初めて食物アレルギーを発症する食材は年齢により傾向があります。

離乳期の0歳児では鶏卵が最も多く、牛乳・小麦の3つで9割を占めています。

食生活の幅が広がる幼児期以降では魚卵(いくらなど)やピーナッツ、果物、そば、甲殻類(えびやかに)などの食物アレルギーが報告されており、原因は多岐にわたるようになります。

 

食物アレルギーを踏まえた「離乳食の進め方」のポイント

離乳食には、こんな役割があります。

役割を知り、ポイントを押さえながら進めていくことが大切です。

【離乳食の役割】

・色々な食べ物やその味を知る(味覚の幅を広げる)

咀嚼力を身につける

・食具の使い方を身につける

・食物から栄養をとる

 

離乳食は、成長に大切な準備の時期です。

さらに食物アレルギーを心配して、むやみに開始を遅らせることがないよう、離乳を進める際の気を付けるポイントも確認しておきましょう。

 

離乳食の開始は5~6か月ごろから。むやみに遅らせない

離乳食はお子さんの成長を見て、5~6か月ごろから開始します。

既に食物アレルギーの診断がある場合にも、むやみに開始を遅らせる必要はありません。

ただし、皮膚に湿疹などの症状が出ている場合には、医師と相談し、皮膚の状況を綺麗にしてから離乳食を始めていきます。

これは、食べたものによる食物アレルギーによる湿疹なのか、そうでないのかの区別がつきにくくなってしまうからです。

初めて与える食べ物は、体調の良いときに「少量」から

初めての与える食べ物は、新鮮なものを、よく加熱して、少量から与えます。

これは、症状が出た時に、食中毒やその他の原因としっかり区別をつけるためです。

食物アレルギーの難しいところは、「何の食材で発症するか分からない」ということです。

特に乳幼児期の発症は、初めて食べたまたはいつもより量を食べた、と言う時に症状が出て気づくことが多いようです。

そのため、初めての食材をお子さんに与える時の「観察」も大事になります。

また、離乳期にアレルゲンとなりやすい鶏卵、牛乳、小麦を与える時は、特に注意が必要です。

言葉で自分の体の異変を伝えられない乳児期は、お子さんの表情や皮膚の状態、機嫌が観察のポイントになります。

 

食べた後の観察ポイント

 

・皮膚の湿疹

・瞼や口の周りの腫れ

・機嫌(ぐずる、いつもより泣く)

・声がかすれる

・ぐったりしている

 

このような様子がないか、確認しましょう。

 

口の周りの腫れは、食べ物によるかぶれと区別が付きにくいことがあります。

食物アレルギー食後30分以内に急激に症状が出現し、口以外の部位にも湿疹が現れることが多いので、おかしいな?と思ったら体の隅々まで観察をするようにしましょう。

このように症状が出た時のため、初めての食材を与えるときは、日中のかかりつけ医が開いている曜日や時間を選ぶことも大切です。

 

除去が指示された食物以外は、「離乳の支援ガイド」通りに

医師から除去が指示された食材はしっかり除去が必要ですが、それ以外の食べ物は、「離乳の支援ガイド」(厚生労働省※1)や市区町村から提示されている「離乳食の進め方」などを参考に進めていきます。

食物アレルギーが心配だからと与えないのは、お子さんの心身の成長に影響を与えかねません。

アトピー性皮膚炎のある赤ちゃんで鶏卵アレルギーがない場合、離乳期に鶏卵を与える時期が遅くなるほど、その後、卵アレルギーを発症するリスクが高くなる傾向があると言われています※2

心配な場合は必ずかかりつけの医師と相談して進めていきましょう。

 

参考(※1):「離乳の支援ガイド」

参考(※2):鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」の解説:患者・一般の皆様へ(日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会)

便利な「ベビーフード」は表示をしっかり確認して

ベビーフードは、食物アレルギーをもっていても、原因物質が入っていないものであれば利用することができます

原材料をしっかり確認して、購入しましょう。

また、食物アレルギーに配慮したベビーフードも市販されています。

自分で作るのが心配な時や外出時の利用のほか、アレルギー食のレシピの参考にするなど、上手に利用しましょう。

 

食物アレルギーが疑われたら・・適切な診断と治療が大切

食物アレルギーは急激に症状が現れるので、実際に症状が出ると、冷静に判断できなくなるものです。

また、食物アレルギーの症状は人によって様々なので、素人では判断が付きません。

たいした症状ではなくても、ほかにも様々なアレルギーや疾患が隠れていることもあります。

気になる症状が出たら、まず病院を受診しましょう。

 

医師と情報のやりとりが必要。難しい食物アレルギーの診断

食物アレルギーを疑う症状がある場合は、早めに医療機関の受診が大切です。

これは、再度症状が出ることを防ぐだけではなく、自己判断で不必要な食物除去をせずに済むからです。

診断は非常に複雑で、血液検査結果だけでは確定できず、問診のほか、実際に食べてみてどうか、症状、生活環境など、様々な専門的な視点から判断します。

そのため、一度の受診ではアレルギーの原因がわからないこともあります。

できるだけ情報が多いほうが、原因を絞りやすくなるので、医師にしっかり伝えられるようにしましょう。

 

しっかり治療すれば8~9割は改善する

食物アレルギーで心配なのは、「治るのか」ということですよね?

実は、しっかり治療を受けることで、3歳までに約5割、小学校入学までに8~9割の人が食物アレルギー原因物質の耐性を獲得し、改善すると言われています。

腸管には消化機能と腸管免疫という機能があり、異物を消化し吸収を調整する能力を備えています。

これらの器官が未熟だと、異物と食物の選別がうまくできないため、アレルギー症状を発症してしまうのです。

これが、乳幼児期に食物アレルギーが多い理由です。

つまり、成長の過程で消化機能が発達することで、しっかり食物成分を選別できるようになるため、ある程度の年齢になると改善します。

しかし、食物アレルギーをできるだけ早く改善させるためには、お子さんの成長に合った適切な治療が必要になります。

自己判断はせず、必ず専門の医療機関で医師の指示のもと、治療を受けるようにしましょう。

 

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「最低限の除去」が基本。定期的な診断で必ずフォローを

食物アレルギーの基本対応医師の指示に基づく「最低限の除去」です。

食物を食べて何か症状が出ても、自己判断で除去をしてはいけません。

必ず医師による検査と診断をもとに除去が必要か、どの程度必要かを考えていきます。

よく血液検査結果だけを見て、医師が指示した内容より多くの除去をしている方がいます。

実は検査結果はあくまで参考で、検査値のアレルギーの数値が高くても必ずアレルギー症状がでるとは限りません。

また、その逆に、検査結果の数値が低くてもアレルギー症状が出ることもあるのです。

診断はあくまで、「食べて症状が出るか」ということが基本になります。

そこに検査結果を合わせて、症状がでるアレルゲンの推測をしていくのです。

自己判断で検査結果からむやみに除去をすると、たくさんの食品が食べられなくなり、お子さんの成長に影響を及ぼす可能性があります。

また、定期的に食物アレルギーの状態の確認をするための「病院受診」をし、食物アレルギーの状態を確認しましょう。

耐性を獲得し、治っているのに除去食を続けることは、不必要にお子さんの生活の多くを制限することにつながります。

医師の指示に従って病院を受診し、対応について相談していきましょう。

 

知っておいた方がいい!食物アレルギーに関するアレコレ

食物アレルギーは研究の中でどんどん解明され、日々新しい情報が更新されています。

その中で、最近わかってきた食物アレルギーと関連がある「皮膚のケア」と、よく質問がある「母乳にかかわるお母さんの食事」について知っておきましょう。

 

見落としがち?アレルギー予防に「皮膚のケア」

近年、皮膚からアレルゲンが入ることによりアレルギーの抗体ができることがある、ということがわかってきました。

特に皮膚に湿疹などの皮膚トラブルがあることが、原因となっているようです。

湿疹などで皮膚のバリア機能が傷ついていると、アレルゲンだけではなく細菌やウイルスの侵入も許してしまいます。

これを防ぐためには、乳児期からのしっかりした皮膚のケアが必要です。

新生児期から保湿剤を塗布していた乳児は、保湿をしていない乳児に比べ、アトピー性皮膚炎を発症するリスクが低いということがわかっています。

湿疹や肌荒れが起きたら、皮膚からアレルゲンを取り込まないよう、しっかりケアをすることがアレルギー予防にとって大切になります。

 

授乳中のお母さんの食物除去は不要

母乳の成分(母乳中の食物)赤ちゃんのアレルギー症状(主に湿疹)と関連していることはあまりありません。

医師の指示に従い、皮膚の薬などを塗っても改善しないときは、母乳との関連を考えることがあります。

もし母乳が関連しているという結果になっても、比較的短期間の除去で、完全除去(まったく食べないようにすること)になるケースはほとんどありません。

食物アレルギーを心配するあまり、お母さんがむやみに食物を除去してしまうことは、お母さんの身体の栄養が足りなくなり、母乳が出にくくなるなどの影響も考えられます。

母乳中のアレルゲンを心配してむやみな除去はしないようにしましょう。

 

まとめ

食物アレルギーに関する情報はたくさん出回っているため、心配になってしまうかもしれません。

 

食物アレルギーの対応で大切なのは、この3つです。

・「念のため」のむやみな除去はしないこと

・しっかりお子さんの身体の観察をすること

・かかりつけ医による診断と医師の指示による最低限の除去

 

正しい知識をしっかり持っていれば、必要以上に心配をすることはありません。

離乳食は、お子さんの成長の過程でとても大切な一歩です。

一般的な離乳食の進め方を参考に、お子さんの成長を確認しながら、しっかり進めていきましょう。

 

この記事を書いたひと

FBS2期卒業生 三浦 寛子

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